米イリノイ大学Urbana-Champaign校のGrayce Wicall Gauthier教育学教授であるNicholas Burbules氏は、フィルタリングソフトが子供を守る用途に関して不完全であり、かえって危険を増大させる可能性があるとの説を主張する論文を発表した。
教授は、「フィルタリングソフトがすべての危険な情報をブロックすると信じている親や先生は、実際にはどんなフィルターでもそこまで完全にはブロックできないにも関わらず、子供たちが実際にインターネットで何をしているのか注意を払わなくなる可能性がある」と指摘した。
その上で、フィルタリングソフトが何をもって危険と判断するかは非常に主観的であることも指摘している。ポルノなどの性的なコンテンツは当然のことだが、子供向けの広告などに危険と考えられるものも数多い。これについて教授は「平均的な子供はインターネット上の略奪者に出会うよりも、企業によって搾取される可能性の方がはるかに高いにもかかわらず、我々はひとつのことに関してはひっきりなしに心配するがもうひとつのことに関してはまったく考えてもいないのだ」と指摘した。
フィルタリングソフトを使うことにこうした問題があることから、教授はフィルタリングソフトを改良することよりも、それを一切使わないことを勧めている。例えば、親や先生が十分な注意を払える場所で子供にインターネットを使って特定のトピックスについて調べさせ、子供が見つけたものについて議論をするといった方法である。教授は、「この空間に安全に住み、そしてナビゲートする方法を学ぶこと。これは学校が今日の若い人に教える必要のあるもっとも重要な事柄のひとつだ」と指摘した。さらに、インターネットを利用することを運転に例えて、「子供を危険にさらし、何か間違ったことをさせてしまうリスクを犯すことでしか学べないこともあるのだ」と述べている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.news.uiuc.edu/gentips/03/09filter.html
Thoughts about filtering(英文)
http://faculty.ed.uiuc.edu/burbules/ncb/papers/straight.html
関連記事:米上院、学校・図書館へのフィルタリングソフト設置を義務づけ
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/980722/filter.htm
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2003/09/05 12:40
- ページの先頭へ-
|