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MySQL創業者の記念講演〜活用事例紹介やユーザーとの討論会も実施


 オープンソースの商用DataBase Management System(DBMS)「MySQL」の創業者 Micael“Monty” Widenius氏とDavid Axmark氏が来日し、都内で記念講演を行なった。講演会は、両氏による講演のほか、楽天や住商グレンジャーによる事例紹介から、最初の国内代理店ソフトエイジェンシー代表取締役社長・立岡佐到士氏による講演、ユーザーとの公開討論会まで催された。


楽天安武氏、「安いMySQLで新規事業へのリスクを削減」

 初めに登壇した楽天・開発本部 安武弘晃氏氏は、冒頭「楽天市場」の開発現場について述べた。「基本的にシステムは自前で開発する。複雑な上に大規模で、スケジュールがキツイ場合が多い」という。また、新規事業へのリスクを削減するために、初期投資をできるだけ少なくすることが楽天におけるシステム開発の特徴だと述べた。

 MySQL導入については、「とにかく必要となる費用が少ないことが、新規事業に対するコストをできる限り制限する楽天のポリシーと合致した。また、3年前から一部で、昨年から本格的に導入したが、大きなトラブルがなく信頼性も高い」としている。

 続いて、間接資材販売サイト「MonotaRO.com」を運営する住商グレンジャー・代表取締役社長 瀬戸欣哉氏が登場。「OracleなどのDBMSを選択すると、知識の少ない我々は、システムベンダーの言いなりにならざるを得ない。オープンソースのMySQLを利用することで、自分たちでシステムを変更できるようになり、状況に応じてシステムを改良するといった柔軟な対応も可能になった」とした。


楽天・開発本部 安武弘晃氏氏 住商グレンジャー・代表取締役社長 瀬戸欣哉氏

オープンソースゆえの堅牢性

ソフトエイジェンシー代表取締役社長・立岡佐到士氏
 ソフトエイジェンシーの立岡氏による講演では、MySQLを「オープンソースモデルを採用した商用データベースだ」と定義。フリーソフトのようにボランティアによる開発ではなく、MySQL AB(アーベー)社に雇われているエンジニアに開発されている点や、ソースコードを誰でも見ることができるオープンソースモデルである点を強調し、「だから、アフターサポートも提供できるし、世界中のユーザーがバグレポートを送信できる。その結果、セキュリティが向上する」と述べた。

 立岡氏は、「MySQLの利点は4つある」という。まずはスピード。CPUやハードディスク、メモリの性能がそのまま反映するとし、MySQLをスピードアップしたい時は、ハードウェアを増強するだけで可能だという。次に挙げたのは“落ちない”信頼性。レプリケーションも可能で、バックアップに利用することもできる。3点目はインストールが簡単なこと。バージョンアップやリストアなどの管理についても簡便だとしているが、必要ならば研修も受講できる。最後に挙げたのはコストだ。GPLの無料版と企業向け有料版のコマーシャルライセンスを用意。有料版では、MySQL ABによる動作保証があり、開発したソースコードの公開義務がない。また、接続クライアントに制限がないのも特徴だ。

 ソフトエイジェンシーは、1999年から日本国内では初めてMySQLの正規代理店となった。同年、東京ドームで行なわれたNBAのチケット約30,000枚におよぶ販売システムをMySQLで構築したのを皮切りに、2000年にはアイザワ証券のWebサイトで投資家向け情報ページを、2002年にはNTTグループのニュースリリースページをそれぞれMySQLで構築している。


MySQLの次バージョンではStored Proceduresをサポート

MySQLの創業者 Micael“Monty” Widenius氏(左)とDavid Axmark氏(右)
 “Monty”とDavid両氏による講演では、MySQLの現状、今後のバージョンで実装される機能などが明らかにされた。

 David氏によると、「9月5日現在、Google.comでヒットするリンク数は、MySQLが55,300件。ちなみにOracleは17,200件で、Postgresql.orgが14,400件だ。また、8月のデータでは、1日あたり35,000件、月にして100万件のダウンロードがあった」とその知名度を強調。日本でのダウンロード数は、米、中国についで世界3位だという。

 配信会社MySQL ABについても言及し、「スウェーデンのウプサラに本社があるが、米、独、フィンランドなどに事務所を構え、現在は85〜90名の従業員が15カ国で働く。開発者はほとんど在宅で仕事をしている」という。収益は、「コマーシャルライセンスの販売以外にも研修などのサポートや、認定作業などで挙げている」と述べた。

 MySQLのビジネスポリシーを簡単に説明すると、「もし、あなたがMySQLを利用した製品を無料にするなら、私たちも無料でMySQLを提供します。商売する場合は、お金を取ります」というもの。“MySQLで金儲けするなら、一緒にシェアしましょう”とする精神なのだ(立岡氏)という。

 MySQLのパフォーマンスについては、米IT情報サイト「EWeek」のレビューを引用。レビューではMySQL4.0やOracle9i、IBM DB2、Microsoft SQL Server 2000 SP2などDBMS7種類のベンチマークやレイテンシーが調査され、いずれもMySQLがトップクラスの成績を収めていた。

 今後のロードマップも語られた。まず、「なるべく早く正式リリースしたい」(David氏)としているのが、現在Stabilizing Development Releaseのバージョン4.1だ。こちらでは、複数のキャラクターセットをカラムごとに変更できるようになったほか、位置情報などにも対応。「位置情報はについては、デーティングサイトなどでも利用できるだろう」という。

 また、現在開発中のバージョン5.0では、Stored Procedures機能をサポート。「本来、MySQLでは必要のない機能だ」(立岡氏)とした上で、「競合するDBのユーザーにもMySQLを利用して欲しくて搭載した。我々が多くのユーザーを満足させられないと、Oracleに満足させられてしまう(笑)」(David氏)とした。


ベンチマークテスト レイテンシーテスト

バージョン5.0では、Stored Proceduresもサポート MySQLのロゴマークであるイルカ。周りの凶暴なサメとは違うという

 この後開催された討論会では、“Monty”とDavid両氏が、立岡氏やユーザーグループ「日本MySQLユーザ会」スタッフらのユーザーレベルの質問にひとつひとつ回答していた。


ユーザーとの討論会。右から3名が日本MySQLユーザ会スタッフ

関連情報

URL
  MySQL(英文)
  http://www.mysql.com/
  ソフトエイジェンシー
  http://www.softagency.co.jp/
  日本MySQLユーザ会
  http://www.mysql.gr.jp/


( 鷹木 創 )
2003/09/08 20:01

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