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「インターネットの不思議、探検隊!」(太郎次郎社エディタス、定価1,900円)。対象は小学生から
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慶應義塾大学の村井 純教授は、「インターネットの不思議、探検隊!」と題したインターネット入門書を太郎次郎社エディタスより出版。書籍には、RFIDタグが添付されている。Auto-ID センター規格に準拠したRFIDタグが付いた製品は世界初となる。
Auto-IDを付与したRFIDタグが添付されたことにより、この書籍は1冊ごとに割り当てられた個体番号を無線電波を用いて読み取ることができる。今回書籍に添付されたRFIDタグは、Auto-ID の規格である周波数帯のうち、2.45GHz帯の電波を用いており、数十cmの距離内で読み取り可能だが、日本で現在、RFIDに通常用いられている13.56MHz 帯などの電波を使用するリーダやライタでは読み書きできないという。
村井教授らは書籍の発売にともない、付与されたAuto-IDを使って、書籍をポイントカードのように扱う実験を行なう。あらかじめ実験サイトで読者が自分の持つ書籍の番号を登録しておき、特定の場所に用意されたRFIDリーダで本に付属するタグが識別されると、ポイントが加算される。RFIDのリーダは限られた場所にしか置けないため、ポイントを得た人が、他の人にポイントを分け与えることで成績が上がっていくという仕組みも採り入れ、優秀な成績を収めた人には特典を用意するという。書籍の対象年齢が小学生からということもあり、ゲーム性を取り入れた実験となっている。
このほか今後、身の回りのID番号を集めて対戦するIDバトラー(仮称)などのアプリケーションの提供も検討しているという。
RFIDタグに関しては、おもに個人情報保護の観点からの議論が行なわれており、流通・販売も含めた運用ルールについてもコンセンサスなどは得られていないのが現状だ。
こうした中で直接消費者に渡る製品に個体識別可能なAuto-IDタグを添付したことについて、村井教授は「もちろん、個人情報の保護については考えていかなければならない」として、「今、まさに議論が行なわれている中で、実際に機能するタグを取り付けた本を出版することについて疑問を持たれる方もいらっしゃるだろうことは承知している。しかし、タグを読み取るためのリーダが世の中に普及していない今だからこそ、街が個体識別技術であふれる世界が現実のものとなった時、どのような問題が起き得るのか、それはどのように解決していけばよいのか、限定された状況下で行なうシミュレーションによって確かめることができる」と実験の狙いについて述べている。
なお、実験で提供するアプリケーションなどは、10月に東京・六本木ヒルズで開催予定のAuto-ID センター主催のセミナー、および11月に六本木ヒルズで開催予定の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス オープン・リサーチ・フォーラムなどのイベント会場にて、順次公開する予定だという。
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書籍の巻末にRFIDタグが添付されている
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Auto-IDセンター規格準拠のコードが付与されたRFIDタグ。電池は内蔵しないタイプだ
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■URL
書籍を使った実験サイト(実験は10月開始予定)
http://www.accianco.jp/
Auto-IDセンタージャパン
http://www.autoidcenter.org/japanese_main.asp
太郎次郎社(書籍の版元、Web直販あり)
http://www.tarojiro.co.jp/
関連記事:オートIDセンター日本拠点、慶應SFC内に開設
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0122/autoid.htm
( 工藤ひろえ )
2003/09/18 18:58
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