「Operaカンファレンス」では、W3C標準や国際化ドメイン名(IDN)といった国際標準仕様の観点から「Opera」を考えるパネルディスカッションも行なわれた。東京大学情報基盤センターの安東孝二氏が司会を務め、ノルウェーOpera Software ASA社CEOのJon S. Tetzchner氏のほか、W3Cの HTML Activity Leadである石川雅康氏、日本レジストリサービスの米谷嘉朗氏らがコメントした。
W3C標準やIDNのサポート状況が好評価の「Opera」
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(右から)Opera社のTetzchner氏、同じく冨田龍起氏、W3Cの石川氏
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(右から)東京大学の安東氏、トランスウエアの松田賢氏、日本レジストリサービスの米谷氏
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まず石川氏が、「OperaはHTML 4.01をかなりサポートしている」と評価した上で、実際にW3CのWebサイトを表示しながら、いちいちリンクを探さなくても“目次”“前へ”“次へ”のボタンをクリックすることでページを行き来できる「リンクナビゲーション」や、スタイルを切り替えることでひとつのページでも表示レイアウトを変更できる「CSS」などの機能のデモを行なった。ただし、これらはOperaの独自機能ではなく、すでにW3C標準となって仕様だと説明。「標準の機能をうまく実装することで利用できる」使い方だという。
これを受けて安東氏は、「(サイト運営者によって対応ブラウザが指定されていたり、フォントサイズなどのレイアウトがあらかじめ決まっているという点で)Webサイトは受け身のイメージがあるが、目の不自由な人が文字を拡大して見たり、ユーザーがスタイルを選ぶなど、ブラウザからアクティブに使える環境があってもいいのではないか」と感想を述べた。
米谷氏は、OperaにおけるIDNのサポート状況について説明。「Opera 6.0」で、当時のIDN暫定仕様をサポートして世界初のネイティブIDN対応ブラウザとなったのに引き続き、最新版の「Opera 7.20」でほぼRFC準拠のIDNブラウザになったことが確認されたと報告した。特にユーザーインターフェイスの部分が優れており、URLバーへの入力や表示だけでなく、ブックマークや履歴、ページ内のリンクをクリックした場合もきちんとIDNが表示される点を評価している。
なお、これらは米谷氏らが独自に調査した結果わかったもので、Opera 6.0の時から今に至るまで、なぜかOpera社ではIDNをサポートしたことを公式に発表していないという。この点についてTetzchner氏は、「すべての人にアクセシビリティを提供するのが理念であるため、IDNをサポートするのは当然」と回答した。
OperaをプリインストールしたPCが近く出荷か
パネルディスカッションの最後には、会場からの質疑応答の時間が設けられたが、2年来Operaを使っているというユーザーから、「私の周りではOperaユーザーはマイノリティで、使っているのはオタクというイメージさえある。標準仕様をサポートし、優れた機能を搭載しているのだから、もっとメジャーブラウザとして広く認知されるような取り組みをして欲しい」という趣旨の意見が述べられた。
これについてTetzchner氏は、「Opera社としては従来通り、ユーザーコミュニティとの対話を継続しながら、イノベーション技術の開発を進めるのみだ。Microsoftほど資本力がないため、(デスクトップ市場で)Internet Explorerと競合するのは正直言って厳しい。携帯電話などの組み込みブラウザを通じてユーザーを拡大し、気が付いたらメジャーになっていればいい」と回答した。ただし、技術開発だけ進めればいいとは考えていないとしており、「メジャーメーカーのPCにOperaをプリインストールして発売する話が進んでおり、Operaを標準搭載したPCが市場に出る日が近い」ことを明らかにした。
関連情報
■URL
OPERAカンファレンスのお知らせ
https://secure.transware.co.jp/opera/conference.html
・ アラビア語もサポートした「Opera 7.20」日本語版(2003/09/26)
( 永沢 茂 )
2003/09/26 20:44
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