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ソニーとドコモ、非接触IC搭載の携帯電話サービスで新会社設立


左から、ソニー 代表執行役会長 兼 グループCEOの出井 伸之氏、フェリカネットワークス 代表取締役 社長 河内 聡一氏、 NTTドコモ 代表取締役社長 立川 敬二氏
 ソニーとNTTドコモは、ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」搭載の携帯電話を利用したサービスの実現に向け、新会社「フェリカネットワークス株式会社」を2004年1月を目処に設立すると発表した。

 両社では、新会社設立にあたり、都内で記者会見を開催。ソニー 代表執行役会長 兼 グループCEOの出井 伸之氏やNTTドコモ 代表取締役社長 立川 敬二氏のほか、ドコモのiモード事業本部 iモード企画部長の夏野 剛氏が登場。出井氏は「ソニーとドコモというユニークな組み合わせで、どういうことになるか大変楽しみだ」と述べたほか、立川氏からは「我々が期待しているのはEコマース。いつも所持している携帯電話をEコマースに活用できれば良い。新会社の発足は、新しい携帯電話の使い方をというものの第1歩になるだろう」とそれぞれ期待感を表わした。


NTTドコモのiモード事業本部 iモード企画部長の夏野 剛氏
 また、夏野氏からは、「ソニーの久夛良木氏と、今年初めに『一緒にやったら良いんじゃない?』と半ば冗談で話していたこともあり、非常に期待している。現在のiモードでは、リアルとの連動をじわじわと実現してきている。たとえば赤外線経由での会員証などだ。504iシリーズは1,040万台、505iシリーズは430万台に達しているが、これは1,500万人という数のユーザーの手元に、ちょっとした会員証などがあるということ。現実は既にここまで来ている」と語ったほか、非接触ICを利用してiモードで展開されるサービスイメージや試験サービスのスケジュールなどが紹介された。


非接触IC搭載端末の登場によるサービスイメージ 試験サービスでは専用の端末「SO504iC」「N504iC」を利用する

 今回設立される「フェリカネットワークス株式会社」は、ソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」をベースに、ICチップを携帯電話に搭載することでさまざまなサービスが実現できるプラットフォームなどを提供する新会社。「FeliCa」は、現在JR東日本がサービス提供しているICカード型定期券「Suica」などに利用され、全世界での発行枚数は3,800万枚に達している。新会社の主業務は、デバイス開発やライセンスの管理・運用などで、従業員数は約90名。

 新会社の代表取締役 社長には、ソニー出身で「SO505i」の商品企画などを担当した河内 聡一氏が就任する。記者会見において河内氏は「より多くのサービスが提供されるよう、手助けしていきたい」と決意を示した。資本金は約60億円で、出資比率はソニー60%、ドコモ40%となる。単なる提携ではなく、新会社設立となったのは、「ソニーは端末メーカーという側面もある。ソニーだけでの展開ではダメで、中立的な展開をはかるため」(出井氏)という理由などに基づいているという。

 今後のスケジュールとしては、2004年1月に新会社が設立されるが、それに先立って、2003年12月よりFeliCa機能を搭載した携帯電話を使った試験サービスが実施される。試験サービスに用いられる端末は、既存端末をベースにした「N504iC」および「SO504iC」の2機種が合計6,000台用意され、具体的なサービスを提供する他社と協力して実施される。その後、2004年春には技術仕様が公開され、夏頃を目処に発売されるFOMAおよびムーバ(PDC)端末の販売が開始される予定。


フェリカネットワークスの事業概要。Felicaプラットフォームを基盤に事業を展開 さまざまな企業に技術・プラットフォームを提供する

試験サービスに用いられる「SO504iC」。背面のFeliCaロゴの後ろに非接触ICチップを内蔵し、どの部分をかざせばよいか、わかるようになっている。なお「SO504iC」の基本性能は、「SO504」と同じ
 記者会見後には、会場内で試験端末を用いたデモンストレーションも披露された。用意されていた端末は「SO504iC」のみだったが、Felica技術をベースにしたICチップ「モバイル FeliCa IC(仮称)」が背面に内蔵されており、かざすだけで決済やチケットのチェックインなどが可能になるというイメージを体験できるようになっていた。

 非接触ICを搭載した携帯電話1台で、複数の機能・サービスが扱えるようになっており、端末内には購入履歴の参照や電子マネーをネットワーク経由でチャージなどが可能な専用のiアプリが搭載される。Javaアプリケーションを利用するため、50XiシリーズやFOMA端末のみに新機能が搭載される予定。しかしこのiアプリはあくまでも管理用という位置付けで、ICチップとリーダー間でやり取りする信号によって、決済処理なのか、改札の通過なのかということを瞬時に認識できるようになっているため、実際にショッピングする際や駅の改札を通過する際は、ICチップが内蔵されたボディをリーダーにかざすだけという操作になり、事前にiアプリなどを起動しておく必要はない。

 さまざまな企業が参入することで、定期券や電子マネーなどのほかにも電子チケットや会員証などが携帯電話1台でその役割を果たせるという幅広いジャンルのサービスが実現できるようになるプラットフォームだけに、立川社長は、本格サービスイン後に投入されるドコモの新端末には、非接触ICが標準搭載されるだろうとの見解を示した。また、ドコモだけの展開になるのではなく、KDDIやボーダフォンとの協業もあり得るとしており、社会的・公共的なサービスインフラを目指していく姿勢も見せている。


関連情報

URL
  ニュースリリース(ソニー)
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200310/03-1027/
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew1027.html


( 湯野康隆, 関口 聖 )
2003/10/28 12:58

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