英国で、レコード業界に対して音楽使用料を支払う代わりにP2Pファイル交換ソフトの利用を推奨する新しいタイプのISPが登場した。ファイル交換ソフトのトラフィックがISPの悩みの種となり、違法な著作権侵害が問題となる中で逆転の発想と言えそうだ。
このISPを設立したのは、英国の音楽サイト「PlayLouder.com」を運営するPlayLouder社で、ISPの名称は「PlayLouderMSP(Music Service Provider)」。PlayLouderMSPは、月額25.50ポンドと付加価値税(日本円で約4,600円)の会費で512kbpsのDSLブロードバンド接続サービスが利用できる上に、PlayLouderMSPが音楽使用料を支払うことで合意しているレコード会社の楽曲を好きなファイル交換ソフトを使って自由かつ合法的にダウンロードできる。なお、英国ではブロードバンドが日本ほど普及しておらず、512kbpsのブロードバンドサービスはそれほど遅いわけではない。
PlayLouderMSPはすでに親会社のPlayLouderと提携関係にあるオルタナティブ音楽のインディーズレーベルと音楽使用契約を締結しているだけでなく、欧州の著名なインディーズレーベルや大手レコード会社とも音楽使用料の提携交渉を進めているという。音楽使用料は、PlayLouderMSPの売り上げの一部が取り分けられ、そこからPlayLouderMSPネットワーク内の利用状況に応じて個々のレコード会社に音楽使用料が支払われる仕組みだ。
PlayLouderMSPは、ファイル交換しやすいようネットワークを最適化する。特にP2Pクライアントソフトがすぐに音楽を探し出せるように太いノードを用意する計画だ。さらに音楽ファン向けのインターネットラジオ放送やライブイベントの生放送、動画ジュークボックスなども予定している。
PlayLouderMSPは11月1日に技術試験をはじめ、一般利用者向けの正式サービス開始は2004年第1四半期ごろになる見込みだ。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.playloudermsp.com/pressrelease.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2003/10/30 12:28
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