総務省は29日、Ku帯(10~15GHz付近)を使った航空機用の大容量移動衛星通信システムの技術的条件について、情報通信審議会から答申を受けたと発表した。総務省では答申を踏まえ、2003年度内をめどに省令の改正などを行ない、航空機インターネットの実現に必要な環境を整える。
答申を受けたのは、14~14.5GHz帯を使って、航空機から衛星および地上局から衛星へアップリンク接続するシステム。この周波数帯は通信会社の中継回線や宇宙観測用に使用されているということで、答申では、これらの既存システムに干渉を与えないようにするための共用条件なども示されている。
14~14.5GHz帯は、陸上や海上用の移動衛星通信に割り当てられていた周波数帯だが、6月から7月にかけて開かれた世界無線通信会議(WRC-03)において航空機用にも2次分配された。同じくダウンリンク用周波数として割り当てられている12GHz帯と併用することで、航空機とインターネットを結ぶメガビットクラスの中継回線が運用可能になる。
すでに米Boeingの事業部門である「Connexion by Boeing」がこの周波数帯を使ったシステムの実験運用を行なっており、ルフトハンザ航空が試験サービスとして提供した事例もある。欧米においても、日本と同じく今年度内にも制度が整う見込みで、2004年中にも、国際線の搭乗中にインターネットが利用できる環境が実現することになる。日本の航空会社でもJALとANAがBoeingとの提携を発表しており、国際線でのインターネット接続サービスを開始する予定となっている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031029_2.html
関連記事:世界無線通信会議、5GHz帯に全世界共通の無線LAN周波数を分配
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0707/itu.htm
関連記事:ANA、2004年下期に航空機内でのインターネット接続サービス導入
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/09/10/406.html
( 永沢 茂 )
2003/10/30 14:04
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