米AMDのGlobal Consumer Advisory Board(GCAB)は29日、世界8カ国における過去10年間の調査データをもとにデジタルデバイドの現状についてまとめたレポート「Charting and Bridging Digital Divides)」を発表した。インターネットが普及する中で格差が狭まりつつある国がある一方、依然として格差が解消されずにいたり、むしろ拡大する国もあることがわかった。
このレポートの対象となっているのは、米国、英国、ドイツ、イタリア、日本、韓国、中国、メキシコ。各国のインターネットに関する各種調査データをもとに、1)収入と学歴、2)性別、3)年代、4)地域という4つの側面から、それぞれの国のデジタルデバイドの現状をとりまとめ、比較している。
レポートによれば、収入と学歴の側面から見た格差は、8カ国すべてにおいて、インターネット利用者のほうが非利用者よりも裕福で学歴が高い傾向にあった。また、米国と日本では幾分狭まりつつあるが、その他の国では広がっているようだとしている。
性別では、男性のほうが女性よりもインターネット利用率が高い傾向が出た。米国を除いて、女性の利用者比率がその国の人口比率よりも低い結果が見られたという。ただし、ドイツとイタリアを除けば性別による格差は狭まりつつあり、格差も小さいとしている。
年齢では、先進国・発展途上国ともに、若い人のほうがネット浸透率が高かった。発展途上国では、学校でアクセスしている学生が、利用者の中で大きな比率を占めているという。一般的には、韓国を除いて、年代による格差は小さくなりつつあるとしている。
裕福な地域は貧しい地域よりもインターネット浸透率が高いなど、地理的なロケーションがインターネットの利用状況に影響を与えていることもわかった。メキシコを除いてこの格差は小さくなる傾向はあるが、依然として残るとしている。
なお、日本の状況についてGCABのメンバーである脇英世・東京電機大学教授は、「日本はモバイル環境でのインターネットアクセスで世界をリードしているが、デジタルデバイドはなお多くのレベルで存在している。テクノロジーの恩恵を受ける側にいる可能性が高いのは、高学歴・高収入で大都市圏に居住する若い男性。しかし、60歳以上で比較的教育水準が低く、低収入で大都市以外に居住している場合、テクノロジーの恩恵を受けない側にいる可能性の方が高くなる」と述べている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.amd.com/jp-ja/Corporate/VirtualPressRoom/0,,51_104_543~77939,00.html
AMD Global Consumer Advisory Board(英文)
http://www.amdgcab.org/
( 永沢 茂 )
2003/10/30 19:55
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