欧州連合(EU)は31日からプライバシーと電子通信に関する指令(ディレクティブ)が加盟国において施行せねばならなくなったことを発表した。これによって、加盟国内では、原則として、セキュリティや守秘義務といったプライバシーに関して、従来より厳しい基準に適合した形でネット上での通信を行なう必要が義務づけられたことになる。
今回の指令では、Cookieの設定、携帯電話における位置情報の利用、およびスパムに関する細かい規定が設定されたことで話題を呼んでいる。従来からプライバシーや電子通信に関する規則はEUレベルで存在していたが、インターネットや携帯電話の存在を前提にしていなかったことから、その不備による問題が顕在化していた。インターネットや携帯電話の普及で、電子商取引が盛んになるにつれ、クッキー、位置情報、スパムなどの利用に一定の規制を設けるべきとの考え方が出てきた。今回の指令はこれを反映したものだ。
Cookieなど、利用方法によってはスパイウェアのような使い方をされる可能性のある不可視の情報捕捉技術の設定については、ユーザーに不可視情報を収集する目的などを明確に掲示し、かつ拒否できる選択肢を与えた場合のみ、設定が許されることになる。これにより、ユーザー自身がCookieを受け入れるかどうかを選択することが可能となる。
位置情報については、二次利用に制限がかけられた。二次利用は、ユーザーの明示的な同意がある場合のみ可能となった。例外としては、位置情報が緊急時に利用される場合、および当局の法的行為(例えば、国家安全保障目的や犯罪捜査など)の執行に必要な時が挙げられているが、実質的に経済的活動では、位置情報の二次利用は非常に難しくなる。
スパムについても、メールの送信には受信者による事前の同意を得ることが必須となった。正体を隠したり、リターンアドレスの不正確な表示なども禁止される。このオプトイン方式の規制は、欧州で普及するSMSメッセージサービスにも同様に適用される。加盟国は、これを一歩進めて、企業向けスパムを禁止することも可能となる。具体的施策については、欧州委員会が年内にも指針を発表するとしている。
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■URL
ニュースリリース
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/1492|0|RAPID&lg=EN;
( Gana Hiyoshi )
2003/11/06 16:41
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