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A.O.S.Sのシステム概要
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バッファローは、無線LANの接続やセキュリティをワンタッチで設定できるシステム「AirStation One-Touch Secure System(A.O.S.S)」を発表した。今後発売される製品はすべてA.O.S.Sに対応するほか、既存製品向けのA.O.S.S対応ファームウェアを無償で公開する予定。また、家電製品向けの提供も予定しているという。
A.O.S.Sは、パソコンを使わずに無線LAN機器の接続設定やセキュリティ設定が可能なバッファローの新システム。クライアント側の対応端末とアクセスポイントのボタンを押すだけでESS-IDやWEP、AESなどを自動で設定する。暗号化方式は64/128bitのWEPのほか、TKIP、AESをサポートする。
A.O.S.Sでは独自の暗号技術を用いており、この暗号化モードで暗号鍵を交換、対応機器の接続と同時にセキュリティ設定を書き換える仕組み。複数のアクセスポイントが存在する場合はそれぞれ異なるWEPキーが設定される。自動で設定されたWEPやESS-IDは管理者モードで確認できるため、手動で無線LAN機器を設定、追加することもできる。
クライアント端末が複数台存在する場合は、端末間で共通する暗号方式のうちもっとも高いものを自動で設定、セキュリティレベルの整合を行なう。また、クライアント1台を無線LANから外した場合にも自動チェックが行なわれ、セキュリティレベルを最も高い共通方式に引き上げるという。
隣接地域などでA.O.S.S対応機器が混在する場合の対応策も講じられている。A.O.S.Sを利用して設定を行なう場合は、アクセスポイントの電波をA.O.S.Sが動作する最低限かつ外部からアクセスできない程度まで減衰する。さらにA.O.S.Sの設定時間を1分程度とすることで、異なる機器を自動で設定してしまうという事態も防止できるという。
A.O.S.Sに対応予定の機器は、IEEE 802.11gに準拠した無線LANルータ「WBR-G54」「WHR-G54」と無線LANコンバータ「WLI-TX1-G54」、IEEE 802.11b準拠の無線LANルータ「WBR-B11」と無線LANコンバータ「WLI-T1-B11」の5機種。今後発売する新製品はすべてA.O.S.Sをサポートするほか、無線LANカードもユーティリティソフトのバージョンアップで対応する予定だという。
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既存の有線LAN向けソリューション
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A.O.S.Sの特徴
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A.O.S.Sの設定手順。まずクライアント端末側のボタンを押す
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次にアクセスポイント側のボタンを押す
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設定が自動で更新される
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セキュリティが異なるパソコンを接続した場合、自動で設定を更新する
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● ネットワーク家電普及の鍵はワイヤレスにあり
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バッファローの牧誠代表取締役社長
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A.O.S.Sのビジネス展開
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バッファローの牧誠代表取締役社長は、A.O.S.Sの発表をもって「ネット家電へ本格参入する」とコメント。同社の無線LAN製品をA.O.S.S対応とするだけでなく、無線LANモジュールとA.O.S.Sファームウェアを含む「A.O.S.S開発キット」として家電メーカーへ提供する方針だという。また、無線LAN関連のサポートを一括で請け負う「BUFFALO SERVICE ALLIANCE(BSA)」を利用し、A.O.S.S搭載機器であればメーカーを問わずサポートを代行することでアフターサービス体制も整えていく。
A.O.S.S開発キットでは、Broadcom製の無線LANチップセット「BCM4317」が提供される。BCM4317はBIEEE 802.11b準拠の無線LANチップで、無線LANに必要なモジュールをシングルチップ化すると同時に小型化を図った製品。従来製品と比較して基盤面積を87%縮小したほか、消費電力も最大で87%低減されているという。
牧社長は「ネットワーク家電が普及するための鍵はワイヤレスにある」と指摘。無線LANのセキュリティや接続設定といった問題をA.O.S.Sが解決することで、ネットワーク家電の発展を推進していくという意気込みを語った。
また、ブロードバンドソリューションズ事業部長の西岡孝行氏は、「一般ユーザーにとっては無線の設定はまだまだ敷居が高く、家電ユーザーとPCユーザーの間に知識の壁が大きく横たわる」としたのち、A.O.S.Sによってこれらの問題が解決できると説明。「ブロードバンドはパソコンのためだけではなく、家電のサービスを受けるためにあるという考え方もできるだろう」と語った。
家電メーカーのA.O.S.S対応製品については、具体的な話はまだ進んではいないものの、「無線LANコンバータとの接続であればすぐにでも対応したい」という話もあるという。ただし無線LANの組み込みについては、社内調整などもあるためまだ先の話と補足したうえで、「OSメーカーにも働きかけていきたい」とした。
今後の展開としては、まだ先の話にはなるものの、他社無線LANベンダーに対してもロイヤリティを徴収することでA.O.S.Sを提供していく計画があるという。事業目標は2006~7年にA.O.S.Sのみで200~300億、関連ビジネスで500億という数字を挙げ、「今の売上の半分くらいを(A.O.S.Sに)期待している」と語った。
A.O.S.Sに対応予定の機器は11月現在で、IEEE 802.11gに準拠した無線LANルータ「WBR-G54」「WHR-G54」と無線LANコンバータ「WLI-TX1-G54」、IEEE 802.11b準拠の無線LANルータ「WBR-B11」と無線LANコンバータ「WLI-T1-B11」など。今後発売する新製品はすべてA.O.S.Sをサポートするほか、無線LANカードもユーティリティソフトのバージョンアップで対応する予定だという。
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A.O.S.S開発キットの概要
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サポートはBSAが一括で請け負う
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A.O.S.S対応製品のロードマップ
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A.O.S.Sの事業計画
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2003/064_1.html
関連記事:Broadcom、サイズを87%縮小した切手大802.11bモジュール[BroadBand Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/2575.html
( 甲斐祐樹 )
2003/11/10 19:03
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