株式会社アッカ・ネットワークスは18日、2004年1月下旬より提供を予定しているADSLの「40Mbpsサービス」の下り最大速度の高速化に関わる開発をほぼ終了したと発表し、理想的環境下における推定リンク速度をはじめとした関連技術情報を公開した。
40Mbpsサービスで採用される技術は、現在よりもさらに高い帯域の周波数を使用する「クアッドスペクトル」と、エラー訂正信号を現在のS=1/4からS=1/6へと省略する技術の2点。また、従来の26Mbpsサービスで採用されている、下り方向の信号を上り方向の信号で使用している周波数帯に重ねて送信する「フルオーバーラップ」方式や、より効率的なエラー訂正技術である「トレリス符号」も継続して使用される。
26Mbpsサービスで採用されている「ダブルスペクトル」では、2.2MHz付近までの周波数帯域を通信に使用しているが、クアッドスペクトルではこれを3.75MHz付近まで使用する。これに加えて、エラー訂正信号を現在のS=1/4からS=1/6へと簡略化することで、理論上の下り方向の最高速度は51.7Mbpsになるとしている。ただし、2MHz付近と3.5MHz付近の周波数帯域についてはアマチュア無線への干渉を避けるために送信電力を低下させるため、最高速度は45.4Mbpsになるという。
しかし、高い周波数帯域の信号は距離が長くなると減衰やノイズの影響が大きくなるため、NTT収容局からの距離が遠い場合には速度の向上は望めない。アッカ・ネットワークスでは、今回のクアッドスペクトルで速度向上が見込めるのは伝送損失が15dB未満の回線としており、個々の環境にもよるもののNTT収容局からの線路距離が約1.4km以内の回線であるとしている。
また、上り方向の速度についても、従来のサービスで使用していた138kHzの周波数帯域を2倍の276kHzまで拡張することで、最大3Mbpsまで高速化する方式のハードウェアを開発していることも表明した。NTT収容局からの距離が2km以内であれば速度が向上する見込みで、ADSLモデムやNTT収容局内の設備についてはファームウェアのバージョンアップだけで実現できる予定だという。ただし、上り周波数帯域の拡張技術にについては、既存のADSL回線への干渉を及ぼす可能性が報告されており、事業者間で提供方法や対策などの協議が今後行なわれる予定となっているため、上り最大3Mbpsのサービスはこうした協議が終了してからとなるとしており、開始時期についても現時点では明言されていない。
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増速が期待できるのは1.4km以内のユーザー。グラフは0.4mm経ポリエチレン絶縁銅線ケーブルの場合
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クアッドスペクトルでは、使用する周波数帯域を3.75MHzまで拡張する
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アマチュア無線との干渉を避けるため、2MHzと3.5MHz付近では送信電力を低下させる
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上り方向も増速される予定だが、サービス開始は事業者間の協議待ちとなる
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.acca.ne.jp/release/031218.html
関連記事:アッカ、下り最大40MbpsのADSL接続サービスを2004年1月下旬より開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/11/25/1249.html
関連記事:TTCスペクトル管理SWG、ADSL上り高速化方式の導入を一旦凍結
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/12/06/1392.html
( 三柳英樹 )
2003/12/18 19:36
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