ネットワークゲームの中央サーバー回避技術を開発する自由を求めて、ソフトウェア開発者グループが米国ミズーリ州セントルイスの連邦地裁に提訴したことが22日明らかになった。
これは、Vivendi Universalの子会社でコンピュータゲーム会社の米Blizzard Entertainmentが所有しているネットワークゲームの中央サーバー「battle.net」をめぐるもの。battle.netはBlizzardが所有・運用しているが、この中には同社のゲームの違法コピーを防ぐための“鍵”が含まれており、同社のゲームをインターネットでプレイするにはこのサーバーを通さなければならない。
これに対して個人ISPのInternet Gateway ISPとその所有者であるTim Jung氏は、ネットワークを流れるパケットを解析することでbattle.netの挙動をエミュレートするソフトウェア「bnetd」を独自に開発し、インターネットで配布を始めた。bnetdを使うと、battle.netサーバーを通さずに独立したネットワーク上でゲームをプレイできるようになる。
こうした行動に対してVivendi UniversalとBlizzard Entertainmentは2002年4月、Internet Gateway ISPとTim Jung氏を相手取って、bnetdが米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に違反しているとの訴えを起こしていた。
今回の提訴は、Internet Gateway ISPとTim Jung氏が、Vivendi UniversalとBlizzard Entertainmentに対してこのようなソフトウェアエミュレータを開発する自由を求めて起こしたものだ。裁判でTim Jung氏側を支援している米電子フロンティア財団(EFF)の所属弁護士であるJason Schultz氏は、「既存のソフトウェアと相互作用または競合するような新しいソフトウェアを設計し配布することは犯罪ではない。リバースエンジニアリングの手法を使って製品を作り出すという伝統は、我々にクローンのパーソナルコンピュータと車を修繕するための自由な独立したホームメカニックスを与えてくれた」とコメントし、bnetdソフトウェアを開発する正当性を主張している。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.eff.org/IP/Emulation/Blizzard_v_bnetd/20031222_eff_bnetd_pr.php
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2003/12/24 12:59
- ページの先頭へ-
|