総務省総合通信基盤局の電波有効利用政策研究会は、無線LANおよび情報家電業界に対する電波再配分に向けての費用負担案を公表した。
これは、今回発表された「電波有効利用政策研究会 第三次報告書~小電力無線局の発展動向と電波再配分への諸問題~」に記載されているもの。報告書では、無線LANや情報家電といった小電力無線について、「無線好き」な国民性などもあり今後も普及が進むと予測。新たな周波数帯の確保が必要であるのと同時に、周波数帯再配分の費用負担に関して検討しなければならないとしている。
具体的な費用負担の内容については、再配分時の給付金に関して10年間で最低でも5割の負担を求めるというもの。無線LANと情報家電で異なる徴収方法を提示した。電気通信事業者による無線LAN事業については電気通信事業者が負担する「電気事業者型」で、再配分に関係する設置基地局数に基づき費用を算定、それに応じた費用を電気事業者が毎年負担する。
ただし無線LANについては、電気事業者型と個人宅や企業内などで無線LANをする「自己利用型」が混在する場合がある。この場合を「無線LAN型」と定義し、電気通信事業者だけでなく、無線局に基準認証を貼付するメーカーとで費用を折半するよう提言している。また、空港やホテル、飲食店などで利用できる公衆無線LANについては、電気事業者型と自己利用型のいずれかに分類する必要があり、費用負担については今後の検討課題となった。
情報家電については、無線局に基準認証を貼付するメーカーが、貼付数に応じて費用を負担する(情報家電型)。各メーカーがそれぞれ負担金を納付することが原則となるが、一定の団体を通じて徴収予定額を前納できる例外措置も提言。確実な費用徴収や徴収手続きの簡略化などのメリットがあるとし、「実際の運用に当たっては、一定の団体を通じた前納方式が望ましい」としている。
なお、研究会では「一定の団体」について、総務大臣があらかじめ既存の団体から実態に合わせて選定する方針だ。今後、徴収対象の特定、各メーカーの支払額算出、新規参入メーカーや途中退出メーカーの取り扱いなどを関係メーカーと検討する必要があるという。
最後に検討課題として、電波再配分の費用負担を一般ユーザーに周知することや、情報家電型における外国製品との公平性を指摘。諸外国との相互承認協定に基づき行なわれる表示貼付が外国政府管理下で実施されるため、貼付時に費用を徴収することが困難だとしている。
関連情報
■URL
報道資料
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031225_1.html
・ 総務省、無線周波数の割り当てを抜本的に見直す方針を公表(2003/10/10)
・ 総務省、電波登録制度および電波再配分に関する報告書を公開(2003/10/01)
( 鷹木 創 )
2003/12/25 18:27
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