Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

オプティキャスト、「スカパー!対応光ファイバーTV」をサービス開始


サービス提供エリア
 オプティキャストは、光ファイバを用いてスカイパーフェクTV!(スカパー)や地上波放送、BS放送などを配信する事業「スカパー!対応光ファイバーTV OPCAS(オプキャス)」を2月25日より開始した。

 オプティキャストは、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの100%子会社で、本サービスについて2003年12月17日付で総務省へ有線役務利用放送事業者の登録申請を実施していた。2月25日にこの登録手続きが完了したことを受けて、オプキャスを開始する。

 それに先立ち、スカイパーフェクト・コミュニケーションズはNTTと共同で、1芯の光ファイバで上下最大100Mbpsのインターネット接続サービスと最大500チャンネルの映像を同時に配信する実証実験を実施していた。オプキャスはIPデータとは別に放送波のまま映像を伝送することで、同軸ケーブルなど既存の設備をそのまま利用できる。

 料金は映像回線が1回線につき月額18,000円と、配信設備利用料が1世帯ごと390円。この料金はマンション管理費として全戸分を一括徴収する。オプキャスが導入された住宅のユーザーは、地上デジタル/アナログ放送、地上、BSデジタル/アナログ放送やスカパーを視聴できる。オプキャスでのスカパー料金は通常と同額で、月額390円の基本料金のほかにチャンネルまたはパックごと契約するが、チューナーは月額300円のレンタル形式で提供される。

 サービス提供エリアは東京23区が中心で、2003年度末までに新宿区、渋谷区、港区、中央区の一部、2004年度末までに23区全域で利用可能になる予定。オプキャスの導入第1号は東京中央区日本橋のマンションが予定されている。


サービスイメージ

メディアの変化を見据えたトータルなサービスを

 オプティキャストは2月26日、ビジネスインテリジェンスネットワーク(BINET)の戦略セミナーで「オプティキャストの特徴と事業展開」と題した講演を行なった。講演ではオプティキャスト代表取締役の仁藤雅夫氏がオプキャスのサービス詳細について説明した。

 仁藤氏は講演の冒頭で、通信と放送の現状について語った。放送は長い間地上波が中心で、テレビの見方は「カウチポテト」という言葉があるように受動的なものだった。対する通信は1対1で話をする固定電話に代表されるように、能動的であるが一家に1台という性質上パーソナルではなかった。このように通信と放送はメディアの位置づけや、それを取り囲む法律もまったく違う性質のものだったという。

 この通信と放送の関係が最近は変化してきている、と仁藤氏は指摘。放送はデジタル化による画質の向上と多チャンネル化の影響で、好きな番組を自分から選んでいくという能動的な視聴方法が生まれ始めた。通信も携帯電話によるパーソナル化、ブロードンドでの動画配信が始まり、通信と放送はお互いの領域に向かってオーバーラップしつつあるという。

 仁藤氏は「ブロードバンドからもスカパー的なサービスは登場するだろう」と予測。スカパーとしては多チャンネル化以外に、メディアの変化を見据えたトータルなサービスが必要になってくると語った。


集合住宅で大きなメリット

全放送サービスが1本のケーブルで視聴できる
 仁藤氏はオプキャスのサービスメリットについて、特にマンションに効果があると説明。スカパーは2つの衛星で放送しているため、全チャンネルを流す場合はアンテナや同軸ケーブルが複数必要になるが、「同軸ケーブルを2本導入するマンションは非常にまれ」というのが現状だという。仁藤氏は「(スカパーを導入したのに)ワールドカップが見られなくて不満が渦巻いていたマンションでも、(オプキャスは)非常に住民に喜ばれた」とコメント、オプキャスのメリットを強調した。また、集合住宅の多い大都市圏でスカパーの普及率が低いという現状も、オプキャスによって解決できるとした。

 オプキャスでは映像をIPベースではなく放送のまま伝送する。このため、著作権処理が不必要または非常に少ないところも特徴だという。また、映像はユーザーへの片方向しか伝送されないため、同時アクセスによるスループット低下といった問題も生じないとした。

 オプキャスの映像伝送には、NTT東日本の「映像通信網サービス」を利用する。このサービスでは70~770MHzの周波数帯を利用し、最大400チャンネルの伝送が可能。仁藤氏は「スカパー全チャンネルを放送してもまだ余裕がある」とコメント、スカパー以外の放送事業者が同じ光ファイバに入ることも可能だと説明した。


CATV向けのサービスも検討

 また、「これは今後実験が必要になるが」と前置きした上で、CATV向けにスカイパーフェクTV!を配信するという話があることも明らかにされた。CATVに空き帯域があれば、スカパーの番組配信は技術的に可能であるという。スカパーの番組配信に必要な帯域は200MHzと大きいが、周波数配列は選べるので、合計周波数が空いていれば問題はない。仁藤氏は「地上デジタルの同時再配信はCATVが行なっているので」とした上で、スカパーのみを放送することも可能だとコメント。「帯域さえ空いていれば、コンテンツや広告宣伝はスカパーがやるので、両者にとってメリットのある話」とした。

 なお、オプキャスは光ファイバ1芯でIP網と併用できるサービスだが、多くの場合マンションには複数の光ファイバが導入されているため、実際には1本の光ファイバでサービスを提供しているという。仁藤氏は「NTT東日本の技術を利用しているため、基本的にはBフレッツなどのサービスを併用するが、NTTにこだわるということはない」とコメント。すでに発表している有線ブロードネットワークスとの事業提携を例に挙げ、インターネット接続サービスは幅広く提携していく姿勢を明らかにした。

 光ファイバを利用したKDDIの「光プラスTV」との違いについて質問が求められると、仁藤氏は「オプキャスには同時再送信や多チャンネルという点が大きい」とした上で、「KDDIはIPサービスも一括して提供する点が違い」とコメント、両者は性質の異なるサービスと結論づけた。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.opcas.jp/company/release/040225.html
  関連記事:スカパー、NTT東西のFTTHやADSL向け放送サービス開始との報道を否定
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/22/1825.html
  関連記事:NTT東日本、光ファイバを使った業務用の多チャンネル映像配信サービス
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/12/16/1524.html
  関連記事:USEN、光ファイバ向けにスカパーや地上波/BSの映像配信サービス[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/2642.html


( 甲斐祐樹 )
2004/02/26 20:16

- ページの先頭へ-

Internet Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.