企業がオープンソースソフトウェアを使用する際のリスクを緩和し、ソフトウェアに特化した法律サービスを提供している米Open Source Risk Management(OSRM)は19日、同社がLinuxカーネルの中に著作権侵害の痕跡を見つけることができなかったとの最終調査結果を発表した。Linuxに関しては米SCOがその一部の著作権を主張。多数の企業を提訴しているため、オープンソースソフトウェアを積極的に利用する際の障害となっている。
OSRMの発表によると、Linuxカーネルの全ファイルを6カ月かけて検証し、そのソースコードの出所をたどっていったところ、Linuxカーネルのversion2.4と2.6に著作権侵害を認めることができなかったとしている。この結果から、OSRMはこの2つのバージョンのLinuxカーネルを利用している企業や団体に対して、著作権侵害訴訟に対する防御を目的とした法律サービスを提供することになった。
このようなサービスを提供する理由について、OSRMの創設者で会長のDaniel Egger氏は「他の多くの人と同様、我々もSCOのような訴訟が法的根拠が薄いと考えている。一方で、Linuxの利用においては自社を守るために著しい時間と費用がかかる可能性があるというビジネス上のリスクがある。われわれのサービスは、極めて高くつく訴訟を許している法的システムから利益を得ようとしているものに対して、総合的な防護策を提供するということだ」と説明した。
OSRMはこうした法的サービスを補償額の3%の費用で請負い、その上でクライアントに対してオープンソースを利用する際の法的リスクを最小限にとどめるためのコンサルティングや、ソフトウェア関連知的財産権に通じた弁護士をクライアントのために選別する。
OSRMは同時に発表されたリリースで、「Open Source Legal Defense Center」を設立し、ソフトウェア知的財産権法のスペシャリストを米国中から集め、オープンソース開発者とユーザーを支援していくと発表。同センターが提供する法的な情報やサービスを受けるための企業会費は年額10万ドルであり、Linuxカーネルの開発を行なっている個人に対しては年会費250ドルで総額25,000ドルの法的な補償が受けられる一種の保険となっている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文、PDF)
http://www.osriskmanagement.com/press_release041904.pdf
ニュースリリース(英文、PDF)
http://www.osriskmanagement.com/press_release0419042.pdf
OSRM(OPEN SOURCE RISK MANAGEMENT、英文)
http://www.osriskmanagement.com/
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/04/20 11:48
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