20日、サーチエンジン関連イベント「Search Engine Strategies 2004」が東京・新宿NSビルで開幕した。21日まで開催されている。ここでは、基調講演として行なわれた米Google技術担当副社長Wayne Rosing氏の講演を紹介する。
● ニュースサイトの更新をリアルタイムで反映するインデックス技術を開発中
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米Google技術担当副社長Wayne Rosing氏
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Rosing氏はGoogleの設立時からの目標として、「世界中の情報を組織化し、バイアスのかかっていない状態で、世界中のユーザーに対して使いやすく提供すること」を挙げた。同社はこの目標を達成するために、100以上のアルゴリズムやページランキングといった手法を取り入れてきたという。
現在では全世界で42.9億のインデックスを保存し、1日2億件以上のクエリー、1,500社に上る広告主、90カ国語に対応しているという。これらの情報は、世界各国のデータセンターに、Intel Pentium4のCPUを搭載し、OSにRedHat Linuxを採用したサーバーによって、分散コンピューティング環境を構築していると説明した。
さらに同社では、インデックスの更新頻度の向上を目指しているという。更新頻度の高いニュースサイトなどにおいては、最高2分間隔でチェックする高速クローラーによって更新を調べ、インデックスを更新しているという。また、現在はニュースサイトの更新があった際に直接GoogleのDBに知らせ、リアルタイムで更新していく仕組みも研究中だと語った。
● 適切に表示された広告こそ、最高の検索結果表示となり得る
続いて、同社の収入源となっている「アドワーズ広告」や「AdSense広告」について言及。インターネットユーザーが一番多く行なっている行動は“メール”であり、次が“検索”であるとの調査結果を示した。
これらの結果を受けてRosing氏は、「ユーザーが何かを求めて検索しているという行動の意味を考えれば、ユーザーの希望に沿った適切に表示された広告こそ、最高の検索結果を表示していると言えるのではないか」と語った。「ただし、通常の検索結果と広告との違いをわかるように表示しなければならないことも、当社の義務だと考えており、表示枠の設定や色分けなどさまざまな仕組みを採用している」と説明した。
● 今後はキーワードの“意味”も含めた検索結果表示を目指す
Googleの今後の展望としては、米Googleの試作段階の技術などが紹介されているページ「Google Labs」の技術を磨き上げて採用段階まで研究を進めるほか、「Innovationこそが、当社の命だ」と語り、さらなる技術革新を図っていくと述べている。
具体的には、現状のキーワード検索にさらにキーワードの“意味”を含めた検索結果表示を結び付ける技術を研究中だという。また、開発中の検索エンジンの“パーソナライゼーション化”については、「現在研究中だが課題も多いため、研究としての優先度はそれほど高くないのが現状だ」と説明している。
● Gmailはプライバシーを最重要で優先しており、日本での展開にも影響はない
4月1日に開始された無料のメールサービス「Gmail」のプライバシー問題については、「当社は、ユーザーのプライバシーを最重要項目として取り組んでいる企業だ」と前置きし、「プライバシーに関わるログは保存していない上に、大量のメール保存に関しても、データロストのリスク低減のためにミラーリングなどは行なっているものの、必要以上のデータ保存やログ保存は行なっていない」とコメントした。
また、「Gmailの日本語化への影響も無く、着々と進めている」と発言したほか、「携帯電話市場はPC以上のユーザーを有する市場であるため、新たなビジネスチャンスの機会と見ており、携帯電話独自サービスなども研究中だ」と語った。
関連情報
■URL
http://www.idg.co.jp/expo/ses/
Search Engine Strategies 2004
http://www.idg.co.jp/expo/ses/
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