米電子フロンティア財団(EFF)が、ソフトウェアやインターネットで基幹技術とされる種々の技術の権利を押さえている特許を、無効にするための運動を展開しようと呼びかけている。対象となる特許には、米Amazon.comの“ワンクリック特許”などが含まれる。
インターネット上の技術やソフトウェアは、現在特許として広く保護されることになっている。ソフトウェアは歴史的には著作権で保護されているが、1990年代にビジネスモデルを含めた種々のIT関連特許が認められるようになり、注目を浴びた。しかし現在では、その技術なしではインターネット上の活動が成り立たないなどの問題が生じるようになり、「百害あって一理なし」とまで指摘されるような特許もある。
EFFが指摘する特許には、ワンクリック特許(5,960,411号)の他、特許権者が突然権利を主張し出したハイパーリンク(4,873,662号)や、ショッピングカート特許(5,715,314号)、国際ドメイン名(6,182,148号)、ポップアップウインドウ(6,389,458号)、ストリーミング技術(5,132,992号)、ターゲット広告(6,026,368号)、クレジットカードによるオンライン決済(6,289,319号)、ブラウザのフレーム(5,933,841号、6,442,574号)、アフィリエイトリンク(6,029,141号)が挙げられている。いずれもインターネットのある生活では欠かせない技術で、ソフトウェアのオープンソース化を目指す団体などからもこれらの特許は目の敵にされている。
EFFが問題にしているのは、これらの特許は、大企業のみならず中小企業やSOHO、個人、非営利団体などにも影響してくる点だ。米国では日本と違い、ビジネスとして特許技術を使用する以外の目的でも特許権の侵害になる可能性がある。従って、一般市民であってもこれらの特許権の侵害にあたる行為をせざるを得ず、訴えられる危険性があるということがキャンペーンを呼びかける理由のようだ。
EFFは今回のキャンペーンの一環として、リストアップした特許の先行技術を収集することを提案している。米国では、日本の無効審判制度にあたる再審査などの手続きを経ることにより、特許の効力を失わせることができる。このとき最も有効なのが、特許技術と同じ技術を開示している出願前の文献を見つけることだ。これらの文献を提出することにより、特許をつぶすことができるという。
なお、リストアップされた米国特許は、日本や欧州ではほとんど成立していないといわれている。また、成立した特許でもすでに消滅している例もあり、米国外ではほとんど問題にならないともいわれ、このキャンペーンが世界的に広がるかどうかは疑問だ。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.eff.org/Patent/20040419_eff_pr_patent.php
The Patent Busting Projectのホワイトペーパー(英文)
http://www.eff.org/Patent/
関連記事:米Amazom.comのCEO、「ワンクリック技術」の特許を権利維持すると表明
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0313/1click.htm
関連記事:Amazon.comの1-Click特許は有効か?~さまざまな類似先行技術が報告される
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0315/1click.htm
( Gana Hiyoshi )
2004/04/23 14:29
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