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総務省、2003年度におけるFTTHやADSLなどの競争状況の評価案


ADSLの都道府県別世帯普及率

都道府県別の世帯普及率
 総務省は、2003年度電気通信事業分野における競争状況の評価案を公開した。本評価ではADSL市場、FTTH市場が分析されており、総務省では5月24日まで本評価案に対する意見を募集する。

 2003年末のADSL契約回線数は、東日本市場が570万、西日本市場が457万で、合計で1,000万を突破。世帯普及率は20.9%で、5世帯に1世帯はADSLを利用している計算になる。都道府県別のADSL世帯普及率では東京都が30.3%で最も高く、神奈川県の28.3%、静岡県の27.1%が続く。逆にADSL世帯普及率が最も低いのは鹿児島県の8.2%で、次が宮崎県の9.1%。なお、対前年度比でADSL世帯増加率が最も高かったのは佐賀県の192.0%。

 事業者別のシェアでは、東日本市場ではNTT東日本が36.8%でシェア第1位となった一方、西日本市場ではNTT西日本が36.7%で第2位。NTT東西以外の事業者シェアは明かされていないが、東西市場ともに第1位と第2位のシェアの開きは大きくないという。

 光収容によってADSLが利用できないユーザーデータも示された。NTT東日本のデータでは2003年12月末現在の固定電話加入数は約2,980万で、そのうち光収容は約6%となる約180万。また、ソフトバンクBBから提出されたデータによれば、毎月約2.4万が光収容によりADSLを利用できない状況にあるという。総務省ではソフトバンクBBのデータが他事業者でも同じであると仮定した上で契約者数割合から逆算し、毎月約6万程度が光収容でADSLを利用できない状況にあるとした。

 ADSL市場の競争力については、全国展開する事業者が4社と少なく、数千とも言われるISPに比べれば市場は寡占的であるものの、料金やサービスで活発な競争が見られると指摘。また、各事業者のシェアは他を圧倒するほどのものではなく、市場の成長が続いていることから、主要事業者は競争関係にあり、協調関係は容易に成立しない状況にあると見ている。さらに地域性といった条件はあるものの、CATVインターネットの存在が競争者として市場に作用しているほか、今後はFTTHもADSL市場と競い合う状況が出来つつあるとしている。


FTTHの都道府県別世帯普及率

全国のFTTH契約者数シェア
 FTTHの契約回線数は2003年9月末の数字で約86万。同時期のADSL契約数923万と比較すると約1割にも及ばないが、事業者全体の契約回線増加率は40%と順調に増加している。事業者別のシェアではNTT東西が57.6%と5割を超え、電力系事業者が12.2%、有線ブロードネットワークスが11.3%と続く。ただし集合住宅のシェアでは、NTT東西の23.8%に対して有線ブロードネットワークスが23.7%と拮抗している。

 地域別のFTTH普及世帯率では、近畿の2.7%、関東の2.3%に対して、東北、四国、沖縄は1%に満たない。都道府県別の契約回線数ではでは東京都、大阪府、神奈川県、兵庫県が5万を超えるが、33県では1万以下と大きな差が開いている。なお、東京都のみの契約回線数は20.1万で、普及世帯率は3.5%。

 NTTグループのFTTH契約回線数シェアは全国平均で62%だが、近畿では48%と5割を切る。一方で北陸、四国、沖縄ではほぼ100%のシェアを誇っている。都道府県別に見たNTTグループのFTTH契約回線数シェアは兵庫県が最も低い44%で、東京都と神奈川県以外で全国平均62%を下回るのはすべて西日本エリアだという。また、集合住宅向けサービスのシェアでは、NTTグループが全国平均約33%と全体シェアよりも低くなっている。逆に集合住宅以外では全国平均82%と圧倒的なシェアを占めている。

 FTTH市場の競争力については、光ファイバの引き込み部分を保有するのが事実上NTT東西と電力系事業者に限られ、多くの事業者はNTT東西の光ファイバ設備を利用している点を指摘。そのためサービス料金はNTT東西の接続料金に大きく依存するほか、電力系事業者も競争上NTT東西と同水準の料金を設定せざるを得ないため、NTT東西への規制効果は電力系事業者にも及ぶとしている。

 FTTHの集合住宅市場では、NTT東西のシェアが市場を単独で支配できるほど大きくなく、競争者も健在しているため、競争が有効に機能していると判断。一方で戸建て住宅はNTT東西と電力系事業者にほぼ限られ、電力系事業者も東京電力、中部電力、関西電力系のケイ・オプティコムだけが積極的に参加していると指摘。NTT東西のFTTH市場支配力抑止としては、ADSLやCATVインターネット事業者だとしている。

 FTTH市場全体としては、本格普及とは言えないまでも堅実な拡大傾向にあり、今後加速が見込まれている。また、市場自体が比較的新しいため、現状はNTT東西のシェアが高くとも、市場の拡大とともに競争者が台頭する可能性もあるため、ただちに市場支配力が働く市場と判断すべきではないとの意見を示している。


関連情報

URL
  報道資料
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040427_2.html

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