ウイルス対策プログラムベンダー各社は2日、接続しているだけで感染するBlasterタイプのワーム型ウイルス「W32.Sasser.worm」の発生を確認。すでに亜種「W32.Sasser.worm.B」の発生も確認されており、ユーザーへ注意を呼びかけている。
W32.Sasser.worm(以下Sasser)は2003年8月に猛威をふるったBlasterウイルスと同様、OSの脆弱性を利用した、“ネットワークに接続しているだけで感染する”タイプのウイルス。企業などでは、ゴールデンウィーク明けの私物PCの持ち込みや、社内PCの脆弱性修正パッチ導入状況などに十分注意する必要がある。
Sasserウイルスは、Windowsの脆弱性「MS04-011」に含まれる「LSASSの脆弱性」を利用してワーム活動を行なう。感染すると、TCPポート5554でFTPサーバーを起動。FTPサーバーを使って、他のPCへウイルス拡散を試みる。
感染したPCは、ランダムに生成されたIPアドレスのTCPポート445に接続することを試み、接続が確立された場合、Sasserウイルスは接続先のPCに対して、TCP ポート9996上でリモートシェルの実行を可能とするシェルコードを送信。シェルを利用することによって、ポート5554上でFTPサーバに逆接続させ、ワームのコピーを取得させる。コピーのファイル名は、「74354_up.exe」のように、後半に _up.exe が付き、前半に4つまたは5つの数字が付く。
ワーム活動を行なう際、拡散先となるIPアドレスは、次のような法則でランダムに生成される。50%の確率で完全にランダム、25%の確率で1番目のオクテットが感染したPCと同じIPアドレス、25%の確率で1番目と2番目のオクテットが感染したPCと同じIPアドレスを生成する。Sasserウイルスはこれらのランダムに生成されたIPアドレスを走査するために128のスレッドを開始するため、感染したPCの処理速度は極端に低下する。
また、SasserウイルスはLSASS.EXEファイルをクラッシュさせることがあり、クラッシュが起きると、英文で「LSAシェルに問題が発生しました――(略)――マイクロソフトにこの問題を報告してください」という内容のメッセージを表示するウィンドウが現われ、システムが再起動するという。
Sasserウイルスへの感染を防ぐには、Windows Updateを実行して、Windowsの脆弱性「MS04-011」のセキュリティ修正パッチを導入すればよい。また、シマンテック・トレンドマイクロ・ネットワークアソシエイツなどウイルス対策ソフト各社は、それぞれ亜種にも対応済みの定義ファイルをリリースしているほか、駆除ツールも提供している。
関連情報
■URL
「MS04-011」のセキュリティ修正プログラム(マイクロソフト)
http://www.microsoft.com/japan/technet/security/bulletin/ms04-011.asp
シマンテック(W32.Sasser.Worm)
http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/data/w/w32.sasser.worm.html
シマンテック(W32.Sasser.B.Worm)
http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/data/w/w32.sasser.b.worm.html
トレンドマイクロ(WORM_SASSER.A)
http://www.trendmicro.co.jp/vinfo/virusencyclo/default5.asp?VName=WORM_SASSER.A
トレンドマイクロ(WORM_SASSER.B)
http://www.trendmicro.co.jp/vinfo/virusencyclo/default5.asp?VName=WORM_SASSER.B
ネットワークアソシエイツ(W32/Sasser.worm)
http://www.networkassociates.com/japan/security/virS.asp?v=W32/Sasser.worm
ネットワークアソシエイツ(W32/Sasser.worm.b)
http://www.networkassociates.com/japan/security/virS.asp?v=W32/Sasser.worm.b
W32.Sasser.worm ウイルスの発生について(@police)
http://www.cyberpolice.go.jp/important/2004/20040503_094530.html
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( 工藤ひろえ )
2004/05/03 14:22
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