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アドビ、PDFの標準化やアクセシビリティについて説明


 アドビシステムズは14日、PDFの標準化やアクセシビリティについての活動を発表した。事実上の標準である“De facto”スタンダードから、ISOなどの標準化団体による“De jure”なスタンダードへ標準化を進めるという。

 アドビのワールドワイドAdobe PDF規格担当を務めるMelonie C.Warfelディレクターは、標準化について携わることについて、「各種テクノロジーとの相互運用性を保つことと、標準化された技術を開発陣などにフィードバックする狙いがある」とコメント。「PDFは普及が進み、事実上(De facto)のスタンダードとなったが、今後はISOなどの標準化団体による正式(De jure)なスタンダードを目指す」としている。


アドビのワールドワイドAdobe PDF規格担当を務めるMelonie C.Warfelディレクター ISOなどの標準化団体による正式(De jure)なスタンダードを目指すという

長期保存文書向けの「PDF/A」、エンジニアリング文書向けの「PDF/E」

PDF Reference Version 1.4のサブセットである「PDF/A」
 実際に標準化を目指すのはPDFのサブセット。すでにISO 15929、15930-1、15930-3として標準化されている印刷向けサブセット「PDF/X」に続いて、デジタル文書の長期保存などを目的とした「PDF/A」、エンジニアリング文書向けの「PDF/E」、障害者向けの「PDF/Access」などがISOに提出されている。

 PDF/Aは、PDF Reference Version 1.4のサブセットで、モノクロとカラーが混在する文書を電子データとして長期保存できる仕様だ。将来的にもアクセス可能という保証ができないため、文書中にリンクとしてのURLを記載することや、動画などのコンテンツを埋め込むことを禁じている。一方フォントに関しては将来も文書が閲覧できるよう、データに埋め込む方針だという。

 PDFには、セキュリティになどの付加機能を追加する機能もあるが、PDF/Aではそれらを定義しない。「付加機能についてはあくまでPDF制作者に委ねる」としている。なお、PDF/Aは、2005年3月にISOの公式認定を目指す。

 PDF/Eは、PDF Reference Version 1.5のサブセット。知的財産に関わるエンジニアリング文書向けの仕様となる。「図面の正確性を追求したい」とし、注釈やコメントなどの印刷もサポート。コンパクトなファイルサイズで、3DデータもPDFに統合するという。2006年末の標準化を目指す。


アクセシビリティは仕様だけでは解決しない。作成方法や掲載の仕方も重要

アクセシビリティを高めたPDFのサブセット「PDF/Access」
 アクセシビリティを高めたPDFのサブセット「PDF/Access」は、2004年3月にワーキンググループが発足したばかり。細かい仕様は明らかになっていないが、「体の不自由な方を支援するための仕様」だという。

 アクセシビリティに関しては「仕様だけでなく、PDFの作成方法やWeb上での掲載の仕方も重要。PDF制作者やWebサイト管理者向けに啓蒙活動を行なう」とコメント。アドビでは、アクセシビリティ対応コンテンツ作成ツールを提供するほか、同社のWebサイト「access.adobe.com」で説明を行なっている。なお、同サイトの表示は英語だが、「3~4カ月以内に日本語化する」という。また、2004年秋ごろには日本国内でアクセシビリティをテーマにセミナーも開催する予定だ。


関連情報

URL
  アドビシステムズ
  http://www.adobe.co.jp/main.html
  access.adobe.com(英文)
  http://access.adobe.com/


( 鷹木 創 )
2004/05/14 14:08

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