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SCO対IBMの訴訟で、GPL推進団体の召還状が問題に


 知的財産権を侵害しているとして米SCOが米IBMを訴えている裁判において、GPL(General Public Licence)の推進団体として知られるFree Software Foundation(FSF)がこのほど、召喚状をWebサイト上に公開した。FSFは2003年に証人として召喚されており、これまでにも種々の対応策を発表している。

 召喚状を公開することは異例だが、その意図は、今回の召喚状の内容が不当であることを第三者に知らしめることにあるものと見られる。召喚状の内容は、GPLおよびGPLの権利行使に関して、1999年以降のすべての文書を提出せよという内容に等しいものだった。これには、例えばLinuxの作者であるLinus Torvalds氏のほか、IBMやフリーソフトウェアに関連する他の重要人物とのメールや文書のやりとりも含まれることになる。このような文書は通常、弁護士とFSFとの間、またはFSFと関係協力者との間に守秘義務があり、開示してはならないものが大半であり、到底応じるわけにはいかないものだ。

 FSF側の対応ははっきりしており、すべての要求文書を公開することはないという。法的に保護された文書を提出する義務はないという立場をとっているからのようだ。しかし問題は、召喚状に対して反論するにせよ、一定の文書提出命令に応じて文書を提出するにせよ、FSFに多大な業務が発生することだ。法的に争う場合は費用がかかることになる。また、文書を提出する場合にしても、一定の経費が償還されるとはいえ、人件費などの間接費用は対象にはならない。人の心に対する“費用”も発生するという。

 FSFによれば、米Microsoftもこの訴訟に関係しているという。OSなどで廉価攻勢を仕掛けられている立場になるMicrosoftは、当然、GPL運動には反対だ。SCOのライセンスを受けたのも、SCOを間接的に支援することが目的だと指摘している。


関連情報

URL
  FSFの立場について(英文)
  http://www.gnu.org/philosophy/sco/
  FSFの召喚状(英文)
  http://www.gnu.org/philosophy/sco/subpoena.html
  関連記事:米SCO、UNIXの市場価値を侵したとしてIBMを提訴
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0310/sco.htm
  関連記事:R・ストールマン講演「ソフトウェア特許は技術の進歩を阻む悪」
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0425/stallman.htm
  関連記事:【Net&Com 2004】講演レポート「オープンソースの知的財産権問題」
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/02/05/1999.html


( Gana Hiyoshi )
2004/05/25 12:42

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