社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は25日、東京都渋谷区のフォーラム・エイトで「数年後のインターネットの姿をえがく」と題するビジネスセミナーを開催した。セミナーでは、マルチメディア振興センターによる調査報告書が紹介されたほか、NTT東日本の祖父江和夫氏やGMO総合研究所の新谷隆氏、日本IBMの関孝則氏らが講演を行なった。
マルチメディア振興センターの報告書「数年後のインターネットサービスの利用環境に関する調査研究報告書」では、数年内にFTTHのユーザーが大幅に伸びると予想。「xDSLからFTTHに乗り換るユーザーが急激に増え」「FTTHの料金が現在のADSL並みに下がれば」という前提ではあるが、「2007年にはFTTHユーザーがxDSLユーザーを上回る可能性がある」としている。
インターネット接続サービス全体としては、2005年から2006年ごろにはxDSL加入者数は鈍化すると分析。xDSLやCATVユーザーはFTTHへの乗り換えが進むとしている。2007年から2009年ごろにはIPv6が普及。ネット犯罪に対応した法律が整備され、自動車や航空機、電車などにおいてブロードバンド接続が進むと予想した。また、ほとんどの建物などで公衆無線LANが可能になり、携帯電話業界においては、IP携帯電話が利用されるようになるとしている。2010年には、FTTHに代わるT(テラ)bps/P(ペタ)bpsの高速インターネット接続サービスが提供されると予想している。
ネット広告に関しては、2007年までは毎年前年比30%増程度で伸び続けると予測。2005年には2,000億円を超える市場規模になり、ラジオ広告市場を凌駕。2007年には3,500億円を超え、雑誌広告市場に近い規模まで成長するという。ただし、テレビCMやストリーミング、3D動画といった高品質な広告配信は困難であるとし、新聞やテレビの広告市場を上回る成長はできないと予想している。
デジタルコンテンツ関連事業では、年率14%から16%程度の成長を見込む。他のインターネット関連サービスに比べて急速な成長は見込めないものの、毎年400億円から750億円の拡大が続き、2007年には9,000億円に迫る市場規模になるという。なお、拡大する要因としては、「違法コピーを行なう個人に対して法的な対策を簡単にとれる制度ができる」「ほとんどのメジャー洋画がインターネット上で配信されるようになる」「ヒットした映画やテレビ番組のVOD」「家庭用オーディオ機器にインターネット接続機能が搭載され、ネット経由で音楽を直接聴くようになる」などを挙げた。
「ブロードバンド・アクセス動向」と題して講演を行なったNTT東日本の祖父江和夫サービス開発部フレッツサービス推進室長は、「コンテンツ関連は伸びるのだろうかと問われることもあるが、映画業界もネット配信する企業は増えている。また、当初は500kbpsレベルだった品質も、現在では1~3Mbps、場合によっては6Mbpsレベルになっている」とし、「これからは動画コンテンツの配信がますます盛んになる」と新市場の将来性を強調した。
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NTT東日本の祖父江和夫サービス開発部フレッツサービス推進室長
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ブロードバンド回線の契約者数推移(出展:NTT東日本)
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関連情報
■URL
JAIPAビジネスセミナー
http://www.jaipa.or.jp/info/2004/info_040525.html
( 鷹木 創 )
2004/05/25 18:20
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