総務省は18日、2003年度の「電波の医用機器等への影響に関する調査」の結果を発表した。調査によれば、心臓ペースメーカーなどの医用機器に与える影響については、無線LANの場合には特定の機種を除いて影響は無く、EAS機器(電子商品監視機器)とRFID機器についてはゲート型装置の中央をまっすぐに通過すれば影響を最小限に抑えられることが確認されたとしている。
総務省では、心臓ペースメーカーなどの医用機器に電波が与える影響について、1997年3月に携帯電話の使用に関する指針を策定するなど、調査研究を進めている。今回発表された2003年度の調査は、無線LAN機器、RFID機器、EAS機器のそれぞれが、医用機器に対してどの程度の影響を与えるかを、試験によって確認したもの。調査試験では心臓ペースメーカー48機種、除細動器10機種に対して、無線LANなどの電波を発射する機器が影響を与える距離や、影響の度合いを測定している。
無線機器LANについては、IEEE802.11a/b/gのいずれかに対応したアクセスポイント8機種、端末側の8機種について、医用機器への影響を測定している。通信方式は心臓ペースメーカーのうち1機種が影響を受けることが確認されたものの、その他の機種については影響は見られなかったという。影響を受けた1機種では、アクセスポイントから6cm、端末機から1cm未満の距離において、瞬間的な影響を与える可能性があると確認されたものの、すぐにその場を離れれば病状の悪化などを起こさない軽微なものであったとしている。
RFID機器については、ゲート型機器10機種、ハンディ型機器21機種について影響を測定。医用機器にRFID機器を近づけるとある程度の影響が見られたものの、機器から遠ざかることで正常に回復することが確認されている。ただし、RFID機器を近づけて止めた状態にしておくと、患者の病状を悪化させる危険性のある影響が確認されたとしている。
万引き防止などの目的で店舗に設置されるEAS機器については、ゲート型36機種、フロア型2機種、天井型2機種について影響を測定。こちらもRFID機器と同様に、機器に近づいた場合に影響が見られるものの、すぐに遠ざかることで回避できる程度の軽微な問題ということだ。また、機器に近づいた状態で長時間留まった場合には、やはり病状を悪化させる危険性のある影響が確認できたとしている。
調査では、これらの結果をもとにした影響防止策を挙げている。無線LAN機器については、影響が見られた心臓ペースメーカー1機種の利用者に対しては医療機関を通じて注意喚起を行なっているが、それ以外の機種の利用者については無線LAN機器に大しては特別な注意は必要ないとしている。
一方、RFID機器やEAS機器については、立ち止まらずに機器の中央をまっすぐ通過すれば影響は無いとしており、機器の周囲に立ち止まったり寄り掛かったりしないように注意している。また、機器メーカーや店舗などに対しては、RFID機器やEAS機器が設置されていることを示すステッカーの掲示を求めるとともに、さらなる安全性の検討を関係団体で行なっていくとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040618_2.html
( 三柳英樹 )
2004/06/21 16:06
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