社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と社団法人日本レコード協会(RIAJ)は28日、2004年4月に実施した「ファイル交換ソフトの利用実態」という調査結果を発表した。
有効回答数は、10代から50代以上の男女23,707人。内訳は男性が11,816名で49.8%、女性は11,891名で50.2%。30代が8,989名で最も多く、40代6,110名、20代4,389名と続いた。職業別では、会社員が8,253名、主婦/専業4,779名、アルバイト・パート2,150名と続いた。調査方法は、インターネットのWebサイトを用いたアンケート形式のため回答者は基本的にインターネットユーザーと定義されている。調査期間は、2004年4月7日から13日までの7日間。
● 現在利用している割合は2.8%、過去利用していた割合は4.3%で減少傾向に
ファイル交換ソフトの利用状況に関する質問では、2004年全体で「現在利用している」ユーザーが2.8%(2003年3.4%)、「過去利用していた」が4.3%(同3.0)となり、インターネットユーザーの7.1%(同6.4%)だった。これにより、現在利用しているユーザーは前年よりも減少したものの、利用経験者の割合は増していることがわかった。
男女別では、男性の経験率が9.6%に対して女性は4.5%だった。年代では、10代が12.5%、20代が11.9%となり、男性の20代以下が18.7%で最も高かった。
● ファイル交換ソフトの利用経験者は約240.6万人と算定
両協会では、2004年3月末のインターネットユーザーを総務省の統計から約3,389.1万人と推定。この数字を元にファイル交換ソフトの利用者数を推計したところ、現在利用者が約94.9万人、過去利用者は約145.7万人、これらを合わせた利用経験者は約240.6万人に上るとしている。
また、2003年1月の調査では、現在利用者が約98.6万人、過去利用者が約87万人だったため、前年度比では、現在利用者が約3.7万人の減少、過去利用者が約58.7万人増加だった。
● 女性は音楽ファイルが多く、男性は音楽と映像がほぼ同程度
現在利用しているファイル交換ソフトでは、WinMXが71.9%で最も多く、Winnyは50.6%だった。過去利用者は、WinMXが66.5%、Winnyが41.2%となった。
ファイル交換ソフトを利用してダウンロードしたことのあるファイルのジャンルは、音楽関連ファイルが最も多く65.3%、次が映像関連ファイルで53.1%、ソフトウェア16.7%、写真関連ファイル15.2%と続いた。男女比で見ると、女性は音楽ファイルが80.1%と高く、映像は46.2%だったのに対し、男性は音楽ファイルが66.9%、映像ファイルが61.7%と同程度だった。
また、2003年には音楽ファイルが72.4%、映像ファイルが40.5%だったことから、ブロードバンドの普及により、音楽ファイルよりも映像ファイルの比率が高まったことがわかる。
● 年間のダウンロード数は137ファイル。内訳は映像が63.0、音楽が49.6
現在の利用者が、過去1年間にダウンロードしたファイル数の平均は137ファイルだった。過去利用者がこれまでにダウンロードしたファイル数70ファイルと比較して多くなっている。
ダウンロードしたファイルのジャンル別では、映像ファイルが63.0ファイルで最多となり、音楽ファイルの49.6ファイルを抜いている。
これらの結果から両協会が推計した音楽ファイルのダウンロード数は、現在の利用者が約10,733.2万ファイル、過去利用者が約5,390.9万ファイルで、合計約16,124.1万ファイルとなった。音楽ファイルでは女性の経験率が約8割と多いほか、ダウンロードしたファイル数も女性が上回っていた。
● 男性は若年層ほどヘビーユーザーが多く、アダルトやアニメが人気
ファイル交換ソフトを現在利用しているユーザーのうち、55.7%が映像ファイルのダウンロード経験があり、平均63.0ファイルをダウンロードしているという。これらの数値から両協会が推計した映像ダウンロード数は、現在利用者が約20,422.5万ファイル、過去利用者が約3,380.2万ファイル、合計約23,802.7万ファイルだった。
現在の利用者における性別別の傾向で見ると、映像ファイルではダウンロード経験率、ダウンロード数ともに男性が上回った。また、年代別では若年層ほどヘビーユーザーが多く、20代では平均128ファイルと30代以上を大きく上回った。
ダウンロードした映像ファイルのジャンルでは、アダルトが最も多く44.0ファイル、次にアニメの25.3ファイル、ミュージッククリップ6.8ファイルと続いた。
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映像ファイルのジャンル別ダウンロード数。アダルトやアニメがかなり多いようだ
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● 交換しているファイルは、“権利の対象となるもの”が94%
最近ダウンロードしたファイル名を調査し、この調査から両協会が推定したところ、“権利の対象となり得る”ファイルの割合は、音楽ファイルの場合は92%、映像ファイルの場合で94%だった。
また、共有フォルダ(アップロードフォルダ)の利用経験は37.9%で、共有しているファイル数は平均107ファイルだった。ただし、共有フォルダを利用したことがないと答えているユーザーが2003年の9.8%から2004年では15.9%と増加しており、「ファイル交換ソフトを利用しながらも、アップロードはしていない」ユーザーが増えていることがわかる。
関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.riaj.or.jp/report/file_exc/pdf/p2psurvey2004.pdf
( 大津 心 )
2004/06/28 16:31
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