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暫定合意を記念しての参加者による記念写真
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半年以上に渡ってTTC(社団法人情報通信技術委員会)・DSL専門委員会スペクトル管理サブワーキンググループ(SWG)において議論が続いていた、上り帯域を拡張したADSL方式(以下EU方式)を巡る取り扱いがついに決着した。これは2日に都内で行なわれた第13回スペクトル管理SWG会合において、EU方式並びにConexantが提案していた「SUQ/SUQ2」の上り帯域を拡張する両方式について、スペクトル管理標準を定める「JJ100.01」第3版の改版作業が完了するまでの暫定的な距離制限等について、参加者の合意が得られたもの。
同SWGでは、EU方式の取り扱いを巡り最終的な決着がつかず、結論は6月25日に開催されたDSL専門委員会会合に持ち越しとなったが、同会合では「SWGにおいて5分の4以上の賛成で暫定的な制限を表決してよい」ということが合意されたのみで、結論は再びSWGに差し戻しになっていた。
2日に行なわれた会合では、いよいよ参加者による表決が行なわれることが予想されていたが、本会合では急遽メイン会合を中断する形でDSL事業者による非公開のアドホック会合が行なわれ、その席上で暫定的な距離制限に合意が得られたことから、最終的に表決による決着は回避された。
EU方式の上り帯域の上限は483kHzまで使用することが認められ、距離制限は「G.992.1 AnnexA方式が下り4Mbpsの伝送速度を確保できる距離から、安全マージンとして500m短くした距離」という、ソフトバンクBB(SBB)が提案した基準で合意。結果的に、前回の会合でイーアクセス、NTT東日本、TOKAIらが支持した案に、SBB、アッカ・ネットワークスらが事実上妥協、最終的に長野県共同電算(JANIS)も折れる形で合意が行なわれた。なお、合意の詳細な内容については来週の金曜日にリリースとして公表される予定。
今回、このような形で暫定合意が得られたことから、今後スペクトル適合確認報告書の改定作業、NTT東西の接続約款の変更申請などを経て、8~9月頃にはDSL事業者がEU方式などを使用したサービスの提供が可能になる見込みだ。
なお、今回合意された基準はあくまで暫定基準であり、スペクトル管理SWGでは引き続き11月30日を目標にJJ100.01の改版作業を進めることになっており、特にEU方式や、電話局収容のVDSLとビル内収容のVDSLの間の相互干渉問題などについて、議論が進められる予定となっている。
関連情報
■URL
TTC DSL専門委員会スペクトル管理SWGに関する情報
http://www.ttc.or.jp/j/info/dsl/dsl.html
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( 松林庵洋風 )
2004/07/02 19:23
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