経済協力開発機構(OECD)が実施した世界各地のP2Pネットワークによるファイル交換に関する調査結果が14日、公表された。
今回公表されたのは、10月に発表する予定の報告書「OECD Information Technology Outlook 2004」の一部で、日本を含むOECD加盟30カ国を対象に調査を行なっている。その結果、ファイル交換ユーザーの国別シェアでは55.4%を米国が占め、次いでドイツが10.2%、カナダが8.0%、フランスの7.8%と続いた。ただし、米国を含む世界各国のユーザーが減少傾向にあるのに対して、ドイツ、フランス、カナダの利用者は増加傾向にあった。なお、日本は0.7%で12番目だった。
注目されるのは、音楽以外のコンテンツのファイル交換が増えてきたことである。2002年には非商用コンテンツのうち62.5%を音楽が占めたのに対して、動画やゲーム、ソフトウェア、画像の合計は37.5%だった。これに対して今回の2003年の調査では、動画などを含む他のファイルが全体の51.3%を占め、音楽は48.6%と半数を割り込んだ。
特にヨーロッパで動画を含むサイズの大きいファイルの交換が増加する傾向にあることが指摘されている。例えばドイツではダウンロードされたすべてのコンテンツのうち動画ファイルが35%、イタリアでは32.4%、フランスでは26.1%を占めた。これに対し、米国では12%に止まっている。
OECDが報告書の中で、「P2P技術は音楽の違法ダウンロードと等価に扱われるべきではない」と述べているたことも興味深い。新しい技術の背後には商用利用の可能性があるとしており、実験段階にある合法的なファイル交換ネットワークについて、例えばVoIP技術、銀行、保険業界、政府、学術機関などでの応用が考えられるとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.oecd.org/document/39/0,2340,en_2649_201185_32928423_1_1_1_1,00.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/07/15 12:00
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