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NTT Com、音楽配信事業の現状と課題に関する説明会

音楽配信サービスは「違法配信への対抗措置」として推進

NTTコミュニケーションズ コンシューマ&オフィス事業部の星名信太郎氏
 NTTコミュニケーションズは(NTT Com)23日、6月に開始した音楽配信サービス「OCN MUSIC STORE」など音楽配信事業の現状と課題に関する記者説明会を開催した。

 説明に立ったNTT Comの星名信太郎氏は、現在の音楽配信サービスの分類やビジネス構造、著作権保護処理(DRM)などの概要について述べた後、音楽配信サービスのこれまでの経緯を紹介。1999年にNapsterの登場によって大量のMP3ファイルが出回り、それを受けて米国の5大レーベルが音楽配信サービスを開始したものの、その後サービスとしては低調な時期が続いた。しかし、2003年に米AppleがiPodとともに音楽配信サービス「iTunes Music Store」を開始したことでビジネスに火が付き、現在は「第2次音楽配信ブーム」と言える状態にあるとの認識を示した。

 星名氏はiTunes Music Storeの成功要因として、iPodという強力なデバイスの存在、メジャーレーベルをほぼ網羅した品揃え、1曲99セントという低価格、ゆるやかなDRMなどを挙げた。特にDRMについては、iTunes Music StoreではiPodへの転送回数は無制限、CD-Rへの書き込みも可能、PC間でのコピーも5台まで可能となっており、現在の国内の音楽配信サービスと比較してかなりゆるやかな制限となっている点が、ユーザーに支持されたのではないかと分析した。

 日本国内においては、2004年4月にレーベルゲートが「Mora」として音楽配信サービスをリニューアルし、東芝EMIが楽曲を大量に提供したことから市場が活性化し、エキサイト、OCN、BIGLOBEなど音楽配信サービスの開始が相次いでいるという現状を紹介。また、楽曲を提供するレーベルの側でも、近日中にはワーナーミュージックが本格参入を予定しているほか、すでに海外で配信サービスを行なっている外資系レーベルの積極参加が予想されるという。

 一方で、日本市場の特殊な事情としては、携帯電話による着メロ・着うたなどの競合サービスや、海外にはほとんど存在しないレンタルCD店の存在、MDの高い普及率などを挙げ、現時点では音楽配信サービスの認知度も極めて低いという現状を示した。ただし、今後は提供される楽曲の増加や新規サービスの開始により認知度も高まり、音楽配信サービス市場は大きく成長するという予測を示した。


米Appleの「iTunes」と国内サービスのDRMの違い 音楽配信サービスにおける国内市場の特殊な事情

配信サービスは「違法配信への対抗措置」として積極的に進める

東芝EMI ニューメディアグループ副部長を務める山崎浩司氏
 次に、楽曲を提供するレーベル側の立場から見た現状として、東芝EMIの山崎浩司氏が説明を行なった。以前の音楽配信サービスは「新曲のプロモーション」という認識であったのに対して、現在は「違法ダウンロードへの対抗措置」が基本スタンスであることを紹介。違法配信が蔓延している中で、合法的に音楽を買える場を提供するべきだという観点から、音楽配信サービスへの楽曲提供を積極的に行なうことにしたという経緯を説明した。

 東芝EMIでは、今後もできる限り楽曲を揃え、提供していく方針であるという。現在問題となっているCDの売上減については、違法配信だけが売上減の原因とは言えないとし、音楽配信サービスは、ユーザーの音楽を聴く手段や時間の多様化という、これまでアプローチできていなかった部分に新たに取り組むものであるという認識を示した。

 今後解決するべき課題としては、他レコード会社への参加を呼びかけるなどして楽曲数を充実させ、音楽配信サービスの認知度を高めるとともに、ひきつづき違法配信の撲滅活動をレーベル側がバックアップしていく体制が重要であるとした。

 質疑応答では、日本の音楽配信サービスはDRMの制限がきついが、iTunesのようにゆるやかなDRMでの提供はできないのかという質問については、山崎氏はDRMは当然必要なものではあるが、ガチガチにしてしまえば利用者には支持されず、現状では楽曲を提供する側と利用者の双方が納得できる点はどこにあるのかを探っている段階だという見解を示した。また、米国ではフェアユースの考え方が根付いているために、CD-Rメディアへの書き込みなどもゆるやかになっているが、日本では現時点ではこうしたバックアップを認めるスタンスにはないとした。


音楽ファイルの違法配信状況 東芝EMIの音楽配信に対するスタンス

関連情報

URL
  OCN MUSIC STORE
  http://music-store.ocn.ne.jp/

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( 三柳英樹 )
2004/07/23 16:17

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