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基調講演を行なう慶応義塾の安西祐一郎塾長
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7月28日~30日の3日間、ITを利用した教育に関する展示会「e-Learning WORLD 2004」が東京ビッグサイトで開催されている。eラーニングのシステム構築やコンテンツ作成を行なう企業など150社が出展しているほか、eラーニングの動向や今後に関する講演が行なわれている。
28日には、慶應義塾の塾長を務める安西祐一郎氏による基調講演が行なわれた。講演では、ブロードバンドの普及などによりeラーニングを利用しやすい環境が整ったことに加えて、大学を卒業して就職しても数年で他の会社に移る若者が増えるなど雇用状況も変化していることから、資格の取得や企業内研修などにおいて効率良く学習できるeラーニングの需要が高まっているという状況を紹介した。
また、eラーニングは小中学校などの教育現場でも利用されつつあるが、資格取得や企業内研修では目標やゴールが明確であるのに対して、教育現場では生徒に考えさせることが重要であり、“教えすぎない”ことも求められるなど、対象年齢が下がるほどeラーニングという枠組みに当てはめることが難しいという認識を示した。
安西氏は、慶応義塾におけるeラーニングへの取り組みとして、講義をインターネットで配信する「SFC GLOBAL CAMPUS」やキャンパス間での遠隔授業などを紹介した。また、今後のeラーニングについては、知の創造に必要となる十分なコンテンツを揃えることが重要であるとし、将来的には単なるコンテンツの集合ではなく、シナリオを持ったデジタルコンテンツ「デジタルコンテキスト」の創造や流通に関わる人材育成を推進していきたいと語った。
展示会場では、eラーニングのコンテンツ作成、講座の管理システム、遠隔講義に必要となるシステム構築などの製品やサービスが紹介されている。講義の内容をリアルタイムでデジタル化し、ストリーミング配信やコンテンツとして蓄積するシステムの展示が多く見られたほか、各社ともこうしたコンテンツ作成・配信システムに加えて、講習の受講状況などを管理するシステムと組み合わせた形での提案を行なっている。
また、資格講習を提供する企業の展示では、講義のストリーミング配信により自宅からでも講習が受けられるシステムや、教室に通っている生徒に対してはデジタル教材の提供など、eラーニングの活用を各社とも積極的にアピールしている。
一方、教育機関向けのeラーニングコンテンツでは、授業での副教材として活用することを想定した「デジタル教材」の展示が目立つ。動画や音声といったコンテンツを、生徒に授業内容をさらに深く理解してもらうための「素材」として活用してもらう形が想定されており、教員向けにはコンテンツを利用した授業の構成案なども提供する形が多くなっている。
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NECの双方向型ライブ授業の展示。動画とホワイトボードを組み合わせている
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学研など3社による小中学校向けeラーニングコンテンツ「BBバケッツ」
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関連情報
■URL
e-Learning WORLD 2004
http://www.elw.jp/
( 三柳英樹 )
2004/07/28 16:57
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