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NICTと沖電気、光符号分割多重方式による200kmの長距離伝送に成功


 情報通信研究機構(NICT)と沖電気工業は28日、既設の光ファイバを用いた「光符号分割多重(Optical Code Division Multiplexing:OCDM)」方式の都市間伝送実験に世界で初めて成功したと発表した。OCDM方式による光ファイバのチャンネル多重化はこれまでも理論研究は多くなされていたものの、実験は研究室レベルに止まっていたという。

 OCDMとは、チャンネルごとに異なる符号を用いて信号を符号化することでチャンネルを多重化する方式。チャンネルごとに時間スロットを割り当てる時間分割多重(TDM)や、チャンネルごとに異なる波長を割り当てる波長分割多重(WDM)といった従来の方式に比べてチャンネルが多く確保でき、ルーティングの柔軟性が向上するほか、符号ごとの帯域保証も可能になるという。また、対応した復号器でなければ信号が再現できないため、通信の秘匿性が高いとしている。


KDDI大手町ビル内の「JGN II大手町リサーチセンター」に設置された実験システム 符号化後の伝送波形(上)と複合・干渉除去後の伝送波形(下)

 今回の実験では、NICTが運用する研究用ネットワークの「JGN II」を用いて、東京都千代田区大手町と茨城県つくば市の往復200kmで伝送を行なった。シングルモードファイバの通常の光通信波長帯域(1550nm帯)で5波長を使用し、10Gbpsのチャネルを2チャンネル多重した。今回の実験では、伝送容量については既存のWDMなどと比べてそれほど拡大していないものの、周波数の利用効率は一般的にOCDMが高いとしており、多重化を進めればさらに容量がアップできるとしている。

 なお、実験で用いられたOCDM符号・復号器は沖電気が開発したもの。特定の波長を反射する特性を持つ光ファイバ「Fiber Bragg Grating(FBG)」で構成されており、符号として時間拡散-波長ホッピング方式を採用している。既設の光ファイバでは温度や振動、伝送時間のゆらぎなど、環境による特性の変化があるため、符号・復号器などの改良を行ない、実際のフィールドに対応したことが実験に成功できた要因だとしている。沖電気では、2006~2007年をめどに商用化を目指す。


沖電気製の符号・復号器。左側から信号を入力すると符号化、逆に右側からでは復号化が行なえる FBG型OCDM符号・復号の動作概念図

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URL
  ニュースリリース
  http://www.oki.com/jp/Home/JIS/New/OKI-News/2004/07/z04048.html
  関連記事:光ファイバーで従来の1,000倍となる10GbpsのQoSを実現
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0909/oki.htm


( 永沢 茂 )
2004/07/28 17:13

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