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不正入場を防げ! FUJI ROCKの入退場口にソフトバンクBBの無線ICタグ


 不正入場を防げ――7月30日から8月1日にかけて新潟県苗場スキー場で開催されたFUJI ROCK FESTIVAL'04(以下、FUJI ROCK)では、ソフトバンクBBによる無線ICタグを利用した入退場管理システムを導入した。システムを管理するソフトバンクBB移動体通信企画本部の中島啓一氏は、「これまでFUJI ROCKでは10万人以上の入場者に対し、目視による入場管理を行なっており、不正入場の根本的な取り締まりが困難だった」という。10万人規模のイベントで無線ICタグが利用されるケースは、国内でもまだ数少ない。編集部では、実際にFUJI ROCKでの運用を取材した。


FUJIROCKの入退場口 取材時は残念ながら曇天。ときおり雨も降る天候だったが、会場はたくさんの音楽ファンで埋まった

 FUJI ROCKでは従来、スタッフや観客に対して種別ごとにカラーリングされたリストバンドを入場券として発行。その色を入退場口のスタッフが目視で確認する方法で入退場管理を行なっていた。カラーリング自体はイベント当日まで秘匿されていたが、3日間のイベントとして開催されるため、「初日にリストバンドの色が判明するとインターネットなどですぐに情報が全国に回ってしまい、偽造のリストバンドが出回ってしまう例が絶えなかった」(中島氏)という。

 そこで今回、ソフトバンクBBの無線ICタグによる入退場管理システムを導入。リストバンドに一意のIDを登録した無線ICタグを装備し、入退場管理に利用した。一般客用の入退場口にはICタグリーダーと管理用PCを設置。物理的にゲートを開閉する設備はないためスタッフも常駐し、FUJI ROCK参加者の腕に着用されたリストバンドの読み込みを行なっていた。参加者数はリアルタイムにカウントされ、管理用PCで確認できた。


今回用意されたリストバンド。留め具の部分に無線ICタグが搭載している 編集部スタッフは関係者扱いで入場。リストバンドの色は黄色と白のストライプだった

四角いICタグリーダーにリストバンドを押し当てて入場 リアルタイムに入場者をカウントできる

 また、会場内売店の納入業者、会場係員などのスタッフ向けには専用の入退場口を別途設置。いずれのスタッフも無線ICタグ付きリストバンドが配布されており、一般客同様にチェックされていた。さらに、納入スタッフは自動車での入退場になるため、ICタグリーダーを搭載したPDAを用いてチェック。「これまでは納入業者に偽装して入場する例もあったが、PDAには事前登録した納入業者のデータを登録し、納入業者以外による不正入場を防ぐことができた」(ソフトバンクBB移動体通信企画本部の小又晋氏)としている。

 なお、リストバンドは、一度着用した後に留め具を外すとICタグごと壊れる構造で、ソフトバンクBBではこの留め具の特許を出願中だ。また、注意事項としてリストバンドを切断すると無効になることも明記し、リストバンドの使い回しを防ぐ仕組みになっている。


自動車で乗り入れする納入業者向けには、PDAで無線ICタグを読み取り 取り付けた留め具を強引に剥がすと、ICタグごと剥がれてしまい、二度と使用できなくなる

 FUJI ROCKでは複数の会場間を移動する場合があるが、こちらは従来同様目視による確認が行なわれている。中島氏は、「管理に力を入れすぎると、イベントの雰囲気を壊してしまう。最終的には無線ICタグを付けているということを意識せずに入退場管理ができればいい」という。ソフトバンクBBでは今後、イベントの入退場管理だけでなく、決済などにも無線ICタグの利用範囲を拡げたいとしている。


赤外線と無線ICタグを用いた専用ゲートも1台のみ用意。赤外線でゲートへの侵入を検知し、侵入確認後、無線ICタグで入退場をチェックする

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.softbankbb.co.jp/press/2004/p0726.html
  FUJI ROCK FESTIVAL'04
  http://www.fujirockfestival.com/


( 鷹木 創 )
2004/08/02 13:38

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