Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

Sender IDがMicrosoftとオープンソースコミュニティの新たな火種に


 スパムを撲滅するための有望な技術と考えられているSender IDをApache Software Foundation(ASF)が現時点では採用できないとの意見を表明したことで、Sender IDの特許を保有するMicrosoftとオープンソースコミュニティとの間で新たな問題が生じる懸念が広がっている。

 Sender IDをめぐる立場についてASFは2日、声明をWebサイトに掲載し、「現在のMicrosoftのロイヤルティフリーSender ID特許ライセンス条項は、Sender IDを実装したいと考えるどのASFプロジェクトにとっても障壁となっている。我々はこのライセンスが、オープンなインターネット標準規格の慣習に反し、一般的にオープンソースに相容れない上に、特にApache License 2.0と相容れないと考えている。したがって我々は、現ライセンス条項のもとではSender IDを実装あるいは配備しない」と述べている。

 Apacheはさまざまなオープンソースプロジェクトを運営しており、その中には広く使われているスパムフィルタリングソフトのApache SpamAssassinがある。さらに大企業向けのJavaメールサーバー「Apache JAMES」も含まれている。

 Sender IDはすでにAOLやVeriSign、Sendmailなど複数の有力企業が採用を表明しており、その影響力は決して小さくない。ApacheはSender IDの標準化について議論を進めているIETF ASRGに対し3月1日付でこの議論を提起しているが、現時点では問題が解決されていない。そのため、ApacheではOpen Source InitiativeのゼネラルカウンセルであるLarry Rosen氏を立ててMicrosoftとの交渉を開始している。

 また、この特許問題についてMicrosoftが譲歩できない場合には、代替策としてSender ID特許とSender IDに関連する出願中の特許をISOCのような非営利団体に移管してオープンな条件でライセンスすることなどを提案している。ASFは声明の最後に、「どのような企業であれ、インターネットインフラの核となる部分をカバーするような知的財産権を認められるべきでない」と主張している。


関連情報

URL
  Apache Software Foundationの声明(英文)
  http://www.apache.org/foundation/docs/sender-id-position.html

関連記事
米Microsoft、Caller IDとSPFを統合したスパムメール対策技術開発へ(2004/05/26)
米Microsoft、スパムメール対策技術「Sender ID」の仕様をIETFに提出(2004/06/25)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/09/03 12:28

- ページの先頭へ-

Internet Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.