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著作権法改正によるCD輸入制限について公取委とHMV社長らが意見交換


懇談会は、公正取引委員会の大会議室において公開で開かれた
 公正取引委員会は7日、「音楽用CD等の流通に関する懇談会」を開催した。HMVジャパンのポール・デゼルスキー社長をはじめとする音楽業界関係者や学識者、消費者団体代表らが、CDの輸入制限などについて公取委と意見交換した。

 CDの輸入に関しては、著作権法改正により2005年1月から「商業用レコードの還流防止措置」が導入されることになっている。アジアなどで発売された安価な邦楽CDが日本国内で販売される、いわゆる“還流CD”を防止するためのものだが、一定条件のもとでは海外からのCDの輸入制限が行なえるようになることから、公取委では「音楽CD市場における競争や消費者利益に与える悪影響が懸念される」として懇談会を開催することにした。

 懇談会では、東京大学大学院法学政治学研究科の落合誠一教授が座長を務め、デゼルスキー社長のほか、ブロードキャスターのピーター・バラカン氏、日本音楽著作権協会(JASRAC)の泉川昇樹常務理事、日本レコード協会の生野秀年常務理事らが出席。デゼルスキー社長は、「アジア市場の発展のために還流防止措置を導入するというのは、物価水準なども考えあわせて理解できる。しかし、この種の規制の問題は乱用・悪用が起こりうるということ。還流防止措置は価格統制に使うこともでき、価格の高騰や輸入できるタイトルの制限などの懸念がある」などと、従来からの意見を繰り返した。

 一方、還流防止措置が音楽CD再販制度との2重の優遇措置になる問題に関しても指摘された。全国消費者団体連絡会消費者関連法担当の関根啓子氏は、「還流防止措置を法制化したことで、JASRACなどの関連団体なども含め値下げに努力すると表明していた。今までの努力があるのだったら教えていただきたい」と疑問を投げかけた。

 次回の懇談会は、来春をめどに開催する。1月の著作権法改正後の運用状況についてチェックなどを行なう予定だ。

 なお、この著作権法改正に関しては、5月にレコード会社各社が消費者の不安を払拭するため、今後も洋楽輸入盤CDを継続して提供するとの声明を発表。6月には、HMVジャパンとタワーレコードが共同で、洋楽輸入盤CDの自由な流通を守るための声明を発表している。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.jftc.go.jp/pressrelease/04.august/040827.pdf

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タワーレコードとHMVジャパン、洋楽輸入盤の販売継続に関する共同声明(2004/06/08)


( 永沢 茂 )
2004/09/07 22:52

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