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経済産業省消費経済政策課の荒木太郎氏
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マイクロソフトが開催した「迷惑メール対策セミナー」では、経済産業省消費経済政策課の荒木太郎氏による国内の迷惑メールに関する講演も行なわれた。
「日本の迷惑メールの現状」と題した講演で荒木氏は、利用者が実際に受信した迷惑メールと迷惑メールに関する相談件数を示した。日本の特徴として、PCよりも携帯電話の迷惑メールが多かったという。ただし最近は、携帯電話への迷惑メールは減少傾向。2001年11月には1週あたり14.7通だったのが、2004年8月には6.2通になった。一方、PCへの迷惑メールは2001年11月には1週あたり13.0通だったが、2004年8月には30.1通と2倍以上に増加。ただし、「世界的に見ればPCへの迷惑メール件数は依然として低水準。また、相談件数では、携帯電話への迷惑メールに関するものが急増している」と解説した。
● 携帯電話の迷惑メールは減少傾向だが、出会い系サイト利用者による大量受信者も
携帯電話への迷惑メールについてはさらに、「平均数こそ減少傾向だが、一部利用者において迷惑メールを大量に受信する傾向がある」と補足。2001年11月では毎週20件以下の迷惑メールを受信する利用者が全体の84.0%を占めており、ばらつきは比較的少ない。対して2004年8月では毎週5件以下までで82.3%を占め、10件以上受信する利用者との割合が極端にばらついたグラフが例示された。なお、荒木氏はばらつき具合を「ジニ係数」(格差が小さいほど0に近く、格差が大きいほど1に近づく)で図示。2001年11月は0.68、2004年8月は0.84となった。
この迷惑メールを大量受信する利用者についての特徴も分析。荒木氏によれば、20代~40代の男性で、「Webサイトの掲示板に携帯電話のメールアドレスを書き込んだ」「メーリングリストへ投稿した」「出会い系サイトやアダルトサイトを利用した」などの行動をとった利用者だという。
● 送信者認証技術の普及がフィッシング詐欺の防止の鍵
迷惑メール対策としては、「長く複雑なメールアドレスへの変更」という手段が携帯電話については効果的だと指摘。対策を講じた利用者は毎週5~6通の受信にとどまり、未対策の利用者の7.1通に比較して少ない結果になっている。PCでの対策としては、セキュリティ対策ソフトやISPが提供するフィルタリングサービスを利用した場合、「効果があった」と回答した利用者が約6割に達したという。
PC、携帯電話を合わせた経産省への相談内容としては、2002年には50%を占めて問い合わせの主流だった「迷惑メールを大量に受信して困っている」よりも、2004年においては架空請求など「内容の不当性」を訴えるものが増加。全体の90%を占める結果となった。
荒木氏は、「現在はアダルトサイトや出会い系に関わる架空請求などが主だが、今後はフィッシング詐欺が増える」と予想。「フィッシング詐欺を防ぐには、Sender IDなどで送信元を特定する必要がある。送信者認証技術の普及がフィッシング詐欺の防止の鍵だ」との見解を示した。
関連情報
■URL
迷惑メール対策技術セミナー
http://www.microsoft.com/japan/events/sender-id/default.mspx
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・ 送信者認証の導入でメールマーケティング変化~迷惑メール対策セミナー(2004/09/10)
( 鷹木 創 )
2004/09/10 18:45
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