身に覚えのないWebサイトからの請求や、利用料金以上の請求などの不当請求の被害が後を絶たない。そうした不当請求に対して、国民生活センターなどでは「絶対に返信したり、自分から連絡してはいけない」と注意を呼びかけているが、無視するだけでは不利益を蒙ってしまう小額訴訟を利用した新たな手口も発生している。
被害にあったのは、17日に東京地方裁判所に訴えを起こす男性だ。弁護団の一員である荒井哲朗弁護士(あおい法律事務所)によれば、この男性は、利用した覚えがないサイトの登録料に加え、「調査費」の名目で合計26万円の請求を受けており、内容証明で督促状も受け取ったという。
国民生活センターなどの呼びかけ通り、督促状を無視すると、簡易裁判所からの小額訴訟の訴状と第一回口頭弁論の期日を記した呼び出し状が特別送達で届く。これも無視すると、裁判を欠席することになる。だが、民事裁判では通常、欠席すると言い分が伝えられないまま即日審理が終わり、敗訴してしまう。不当請求を行なう業者はこの判決を理由に、“正当な請求”を行なうことになるという。
この男性の場合、大阪簡易裁判所からの訴状が届いた時点で弁護士に相談。業者の起こした訴訟は東京地方裁判所に移され、27日から審理が開始されるという。
「小額訴訟にまで発展するケースは多いわけではない」と荒井弁護士。「当然小額訴訟になれば弁護士も参加するため、不当請求する業者にとってもリスクがある。内容証明による支払督促状や小額訴訟はお金を支払わせる手段で、どの手段がもっとも有効か確かめているのではないか」と分析する。
万が一、小額訴訟にまで発展した場合、裁判所から訴状が届く。この時、送り主に裁判所名が記載されているからといって、すぐに信用してしまうことも禁物だ。荒井弁護士は、「最近では、裁判所名を騙って郵送するケースもある。たとえ裁判所の名が入った送付物であっても、心当たりがない請求をされた場合は、まず弁護士か国民生活センターに相談することをお勧めしたい」とコメントしている。
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あおい法律事務所
http://www.aoi-law.com/
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( 鷹木 創 )
2004/09/17 17:38
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