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楽天に出店または提携している東北の企業は、ホテルも含めると1,000社以上になるという。ダイエーの優勝セールに倣って、「優勝キャンペーンとまではいかないかもしれないが、勝利キャンペーンでも開催できれば」と三木谷浩社長
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楽天は24日、日本プロフェッショナル野球組織(NPB)への加盟申請を行なったと発表した。加盟申請する新会社の名称は株式会社楽天野球団(仮称)、代表者には楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史が就任し、10月中旬の設立を予定している。
新球団の所在地は宮城県仙台市を予定、資本金4億円は楽天の100%出資となる見込み。パシフィック野球連盟への所属を希望し、専用球場は仙台市の県営宮城球場を予定。宮城県は楽天の新球団が参加資格を取得した場合、同球場の優先的な使用につき了承済みだという。
新球団で注目されるのが、経営諮問委員会(アドバイザリーボード)に名を連ねる委員の豪華さだ。トヨタ自動車会長の奥田 碩氏、三井住友銀行頭取の西川善文氏、みずほコーポレート銀行頭取の齋藤宏氏、大和證券グループ社長の鈴木茂晴氏、ウシオ電機会長の牛尾治朗氏、全日空社長の大橋洋治氏、日本航空インターナショナル社長の羽根田勝夫氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長の増田宗昭氏、ローソン社長の新浪剛史氏、有線ブロードネットワークス社長の宇野康秀氏ら12人。
財界の重鎮から、野球観戦目的の観光などの展開をにらんだと見られる全日空、日航両社、メディア展開や販売などで協力関係が築けると思われるTSUTAYAチェーンのCCC、ローソン両社、インターネット配信事業を手がける有線ブロードネットワークスなど、財界の大物というだけでなく、委員会メンバーを見ることで今後の展開も想像できるような錚々たる顔ぶれだ。経営諮問委員については、今後地元経済人にも依頼していく予定だという。
なお、楽天は都内で午後3時30分から記者会見を開催しており、本誌でも追って詳報をお伝えする。
【18:57 追記】
24日午後、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が東京都内で記者会見し、申請に至った経緯などを公式に説明した。同社が球団経営に乗り出す意図について三木谷社長は、「意味はいろいろあるが」と前置きした上で、「楽天はインターネットユーザーの若い世代には認知度は高いが、非PCユーザーへの知名度も重要。(球団経営により)楽天のブランドを浸透できる」「コンテンツとしてプロ野球は魅力的」「楽天という会社は見た目は派手だが、やっていることは地味なマーケティング活動。そのノウハウで球団経営を成功に導ける」という3点を挙げた。
インターネットビジネスにおいてプロ野球を活かす具体的な方法としては、「ブロードバンド放送」「グッズ販売」「チケット販売」があるという。ブロードバンド放送では、有線ブロードネットワークスとの合弁会社であるコンテンツポータルの「ShowTime」で放映を行なう。なお、三木谷社長が所有するサッカーJ1のヴィッセル神戸では、グッズ販売の半分がすでにインターネットによるものにシフトしているという。
本拠地予定地をライブドアと同じ仙台とした理由は、40km圏内に100万人の人口がなければビジネスが成り立たないことを挙げ、その点で仙台は「マーケットとしていちばん魅力的なエアポケット」と表現した。一部で報じられていた長野については、「10~14試合を長野で開催したいと述べたのは事実だが、本拠地というかたちで話をしたことはない。大半の試合を宮城球場で行ない、できるだけ東北を中心に展開するのが望ましい」としている。
三木谷社長は、「楽天は今まで20社以上を買収したが、1社たりとも売却したことはない。(球団経営も)やるのであれば短期的なものでなく、20年、30年続ける」と強調。採算については、「4年目からなんとか黒字に持って行ければ十分」との考えを示した。
なお、経営諮問委員会のメンバーはここ1週間で依頼したものだが、「驚いたことに、ほぼ即答で承認いただいた」という。三木谷社長は、「いずれのメンバーも現在のプロ野球のあり方に一家言ある方ばかり」とその理由を分析。自社球団経営のみならず、プロ野球全体のビジネスモデルの変革に意欲を見せている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.rakuten.co.jp/info/ir/release/pdf/2004_09_24.pdf
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・ 楽天、プロ野球球団の経営参入について検討開始を発表(2004/09/15)
( 永沢 茂/工藤ひろえ )
2004/09/24 15:59
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