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JASRAC、CCCD廃止の流れに疑問を提示〜船村徹会長ら新役員が会見


 日本音楽著作権協会(JASRAC)は15日、新しい執行役員体制が決定したのを受けて記者会見を開催し、再任された吉田茂理事長らが今後の方針を説明した。ファイル交換ソフトなどによる違法コピーへの対応を強化することがあらためて示されたほか、PCでの複製やiPodなどHDDプレーヤーへの転送など、現行法で想定していない利用を想定した私的録音補償金制度の見直しも要望していくとしている。


違法なファイル交換には「法的措置も含めた断固たる対応」

船村徹会長(右)と吉田茂理事長(左)
 吉田理事長はJASRACの方針として、著作権保護期間をベルヌ条約で規定された最低水準の死後50年から欧米で一般的な水準である70年に延長するなど、著作権法改正に向けて取り組むことを示した。また、コンテンツ促進法など国の方針を受けて、特に映像コンテンツ関連団体・産業との連携強化を図るほか、海賊版が多く出回っているアジア地域における著作権管理の強化や、国内のダンス教室におけるCDの無許諾利用をなくす活動にも注力する。さらに、音楽の利用手続きを簡便化するために利用申請システムについて、使用許諾から使用量の徴収、分配の全般にわたる電子化を推進するとしている。

 ファイル交換ソフトなどを利用した違法コピーについては、「プロバイダ責任制限法」に基づいてISPへの削除要請を継続するほか、「悪質な場合には法的措置を含めた断固たる対応をとっていく」という。同法に基づく送信停止措置は、ガイドラインが出来てから12月で2年になるが、JASRACがISPに削除を要請した件数は7万ファイルを超え、通常で2、3日のうちに送信停止措置がとられているとして、効果も上がっている模様だ。

 しかしその一方で、このような措置は「ISP側のサーバーにファイルが蔵置されていないと、それを止めるのはなかなか難しい」(菅原端夫常任理事)。そこでファイル交換ソフトに対しては、「通信事業者にとってもトラフィックを食うという意味で大きな迷惑になっている」として、通信業界団体などで構成する「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」のメンバーとともに、「どのような対策がとれるか、共通の問題として検討を進めている」としている。さらに、JASRACの監視システム「J-MUSE」でもファイル交換に一部対応しており、そのバージョンアップにより、ファイルの通過点やおおもとのIPドメインなどを把握できるよう、整備に注力していく考えだ。


iPodにも現行著作権法のもとで私的録音補償金制度の適用を

 私的録音補償金制度の見直しについては、現在の著作権法は1992年に改正されたもので、施行からすでに12年が経過し、音楽の再生機器が様変わりしている点を指摘。。PCなどの汎用機器やHDD内蔵型の携帯プレーヤーへの補償金制度の適用について、「制度の見直しを関係権利者と一致して要求している」(泉川昇樹常務理事)。

 ただし、汎用機器については現行制度で対応できるのかという問題があり、文化庁では法改正が必要との見解を示しているという。データ用のCD-Rやそれに関連する機器も含めて法改正による対応を求めていくことになる。一方、「iPodに象徴される携帯プレーヤーについては、現行法のもとでも当然、対象とされるべき。政令指定の追加というかたちで(対応するよう)権利者団体が文化庁に要望しているところだ」という。


CCCDに代わる違法コピー抑止策として“電子透かし”を

新執行役員の顔ぶれ
 このようにJASRACが違法コピー対策を強化する一方で、レコード業界では、著作権保護意識も高まり、一定の成果があったとしてコピーコントロールCD(CCCD)廃止する動きがあるが、この点についてJASRACでは「(著作権保護の)認識が高まったから、あるいは当初の目的を果たしたからCCCDを止めるというのは、苦渋はわかるが、JASRACではそうは思っていない」(加藤衛常務理事)と疑問を示した。

 同時に、「コストの問題もあるだろうが、CCCDに代わる手段で違法なコピーを抑止する方法を検討しているのかどうかが問題。1つ1つの企業がその努力を行なうのはやはり、もう限界に来ている」と指摘。違法コピー対策の有効な手段として、JASRACでもすでに2000年から実証実験を行なっている“ウォーターマーク(電子透かし)”を紹介した。加藤常務理事は、「JASRACでは、ウォーターマークに対するかなりの追跡能力を持った世界最先端の監視システムを完成させている。これをさらに強化し、コンテンツにウォーターマークを入れることによって、『盗ったら追跡されますよ』と認知させる。そういうシステムを業界で協力して活用するほうが、1社1社がパッケージに多大なコストをかけてコピーコントロールを導入するよりも、相当な抑止力になると考えている」という。

 なお、このウォーターマークは今のところ、「表だって使われているということはないが、じつは密かに入っているものもある」(菅原常任理事)という。ある実験でウォーターマークを入れたところ、映像コンテンツや音楽コンテンツの中から確認された実例もあり、どういう経路で流通していったかも把握できるようになるとしている。

 なお、JASRACの会長には10月1日付で、「王将」「矢切の渡し」などのヒット曲で知られる作曲家の船村徹氏が選任されている。会見に出席した船村氏は、「大切な日本の音楽の著作権をしっかりと守っていくことに尽力したい」とコメントした。


関連情報

URL
  新執行役員決定についてのニュースリリース
  http://www.jasrac.or.jp/release/04/10_2.html
  関連記事:特集 JASRACの違法音楽配信サイト対策
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0217/special.htm

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( 永沢 茂 )
2004/10/18 21:50

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