米Googleは18日、学術論文検索用サーチエンジン「Google Scholar」のベータ版を発表した。現在、Googleの実験的プロジェクトを公開するページ「Google Labs」に掲載されており、Google Groupsの専用フォーラムやメールによるフィードバックを求めている。Google Scholarは無料サービスで、現時点で広告は掲載されていない。
Google Scholarは査読論文、学位論文、プレプリント、書籍、テクニカルレポートなど学術的論文の多くをインデックスして検索できるようにしている。数学、物理学など学問の種類を限定しておらず、さまざまな学問を横断的に検索できる。検索方法としては、自分が関心を持つキーワードを入力したり、Google Scholarで新たに導入された検索オプションである「author:」を付けて検索することで、論文執筆者を限定して検索することも可能だ。
検索結果はできるだけオンラインで全文が入手できるものを表示し、中にはプレプリントサーバーや大学のWebサイトなど複数のリンクが提供されている場合もある。リストアップされた論文タイトルの横にはそれぞれ「Cited by」として引用件数が表示され、その論文が他の論文によってどれだけ引用されているのかを知ることができる。ここをクリックすることで、引用論文の一覧が表示可能だ。Google Scholarは、この引用回数を重視したアルゴリズムを採用しており、論文の全文をインデックスしたうえで、できるだけ重要性の高い論文を引用状況をもとにランキングしているという。
検索結果の中には、頭に「CITATION」と表示され、論文へは直接リンクされていないものもある。これは、他の論文に引用されており、重要と考えられるものの、論文そのものがオンラインで入手できないものを示している。Google Scholarでは、こうした論文も検索結果に表示することで研究者の有用度を高めている。
なお、Google Scholarはアルゴリズムによって検索結果の表示順番を決定しているため、論文が発表された分野や内容によっては論文の内容が誤って表示されたり、順番が不当に下方に表示されるなどの問題が考えられる。そのため、Google Scholarを論文の重要度を判定するために用いることはふさわしくないだろう。
Googleでは、同社のエンジニアに対して勤務時間のうち20%を重要なプロジェクトに費やすことを認めているが、Google Scholarはこの時間内に開発されたものだという。GoogleのプリンシパルエンジニアであるAnurag Acharya氏は今回のベータ版公開に際してGoogle公式ブログの中で、ニュートンの有名な言葉である「巨人の肩の上に立つ」という言葉を引用。Googleが巨人の肩の上に立って益を受けてきたように、Google Scholarが多くの研究者の役に立つことを望んでいるとの開発意図を説明している。
関連情報
■URL
Google Scholar
http://scholar.google.com/
米Google公式ブログの該当コメント(英文)
http://www.google.com/googleblog/2004/11/shouldering-ahead.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/11/19 12:32
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