総務省は26日、「基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)基金制度」の見直しに向け、制度のあり方ついて情報通信審議会に諮問した。2005年10月頃に審議会からの答申を受け、2006年3月にも省令を改正する予定だ。
ユニバーサルサービス基金制度は、基礎的な通信サービスである加入電話、公衆電話、緊急通報について全国均一サービスを維持していくために2002年6月に導入された制度。これらのサービスの提供義務を負っているNTT東西だけでなく、各通信事業者が基金に費用を出し合って、ユニバーサルサービスの維持コストに充当していこうというものだ。
総務省では今回、ユニバーサルサービスの範囲やコスト算定ルールなどの点で審議会に検討を求めた。まず、範囲については、現行では加入電話、公衆電話、緊急通報が対象だが、ドライカッパーを使った直収電話サービスやIP電話、ブロードバンドなどの普及を踏まえ、ユニバーサルサービスの範囲をどのように設定することが適当か検討する。
コスト算定ルールについては、現在は「相殺型」が採用されており、不採算地域の赤字と採算地域の黒字を相殺した上で、まかない切れない部分を「純費用」として基金の対象としていた。実際、制度導入後の2002年と2003年の2年間は基金から拠出されることはなかったという。
一方で、10月に出された審議会答申「平成17年度以降の接続料算定の在り方について」において、「競争地域の料金引き下げが純費用の増大をもたらすこととなる現行の収入費用相殺方式による仕組みは見直しの必要性が高まった」との指摘も挙がっている。そのため今回、不採算地域の赤字を積み上げたコストを純費用とする「積上型」、全国平均の費用を一定以上上回る地域の合算額を純費用とする「ベンチマーク方式」も含め、どのような算定方法が適当かを検討する。
このほか、負担金の原資(経営努力などによる内部吸収でまかなうのか、ユーザーへ転嫁するのかなど)を特定しない現行の方法が適当なのかや、基金のコストを負担する事業者の範囲についても検討する。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041126_5.html
関連記事:電話のユニバーサルサービス維持のため基金を創設
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/980623/mpt.htm
関連記事:イー・アクセス、基本的電話サービスのコスト負担に意見書
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0214/eaccess.htm
( 永沢 茂 )
2004/11/26 19:49
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