米ソフトウェア企業のtheKompany.comが運営する音楽ダウンロード販売サイト「Mindawn」が話題を呼んでいる。特定のコンピュータプラットフォームに依存せず、著作権管理という概念も持たない点が他の大手ダウンロード販売サイトと一線を画している。
Mindawnでは、Ogg VorbisとFLACという2種類のフォーマットで音楽を提供する。Ogg Vorbisは特許料不要のオープンな音声圧縮フォーマットで、MP3よりも音質が優れていると評価されている。FLACは50%程度のサイズに圧縮できるフォーマットだが、MP3やOgg Vorbisなどと異なり、圧縮されたデータを展開することで完全に元のデータに復元できるのが特徴だ。すなわち、FLACで音楽を配信するということはCDをそのまま配信することに等しい。これは、著作権管理システムを導入している多くの音楽ダウンロード販売サイトが決して採用していない方法である。
こうした方法をとった理由についてMindawnでは、「一般的に、人は自分がお金を払って手に入れたものを他人にあげてしまうことなど望んでいないと信じている。さらに、誰かが海賊版のコピーを手に入れたからといって、必ずしも売上減少につながるわけではないと信じている。消費者が購入したものに対して完全な権利を与えて喜んでもらうことは、我々全体にとって長期的によいことだと感じている」とコメントしている。
さらにMindawnは、例えばiTunes Music StoreならMac OS XとWindows、NapsterであればWindowsというように、OSに縛られていた従来のサービスの形態を改め、Windows、Mac OS X、Linuxの主要なプラットフォームすべてに対応するクライアントソフトを配布している。
現在Mindawnは8つのレコードレーベルと契約しているが、5大レコードレーベルとは契約していない。また、レーベルに限らずどのようなアーティストでも50ドルでアカウントを得ることによって音楽を販売することが可能だ。価格はOgg Vorbisの場合99セント、FLACの場合1.24ドルとなっており、Mindawnのみで販売する楽曲では売上の75%が、それ以外の場合は55%がアーティストの取り分となる。他の音楽ダウンロード販売サイトに比べて大きな利潤をアーティストが得られることを意味する。
著作権管理システムを何ひとつ使用しないというのは、これまでの音楽業界のタブーを打ち破るものとなる。このようなビジネスが成功するかどうか試されるだけでなく、ユーザーがどのように音楽と向き合っていくのかを考えるための試金石にもなるかもしれない。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.thekompany.com/press_media/full.php3?Id=276
Mindawn(英文)
http://www.mindawn.com/
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/12/21 17:07
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