中国におけるブログ開設者は30万人程度と推定されるが、政府が最近になって、ブログで政治的な議論がなされることを恐れて特定のキーワードが含まれるエントリを規制し始めたことが明らかになった。トロント大学とハーバードロースクール、ケンブリッジ大学などが共同で設立しているOpenNet Initiativeが報告した。
中国には現在、「Blogbus」「Blogcn」「Blogdriver」という3つの主要ブログサービスがあるが、2004年3月、天安門事件に関連したある文章がブログで公開されてから3社のサービスが一時的に閉鎖。その後、検閲の仕組みを整えたうえで再開されるようになったという。OpenNet Initiativeは今回、この検閲の手法を明らかにするための研究を行なった。
政府がどのようなキーワードを検閲対象としているかは現在もわかっていないが、2004年11月に大きな進展があった。中国で人気のあるインスタントメッセンジャー「QQ」のDLLファイルの中に、フィルタリングのために使用される中国語と英語のキーワードのリストが含まれていることが、中国のハッカーグループによって明らかにされたのだ。
OpenNet Initiativeの研究グループは今回、発見された987件のキーワードをもとに各ブログサービスに実際にエントリを作成。その結果、Blogbusで18語、Blogcnで19語、Blogdriverで350語をフィルタリングしていることが判明した。このうちBlogbusではエントリの投稿はできるが、フィルタリング対象となるキーワードが「*」に置き換えられ、伏せ字で表示されることがわかった。ただしこの方法も万能ではなく、特定の文字を間に入れると回避できるという。一方、BlogcnとBlogdriverでは対象キーワードを含む投稿に対してJavaScriptによるポップアップ警告を表示し、投稿そのものを拒否する方法を採用している。
こうした中国での動きについてOpenNet Initiativeでは、ブログがインターネットに与える影響を中国政府が認識し、ブログ界をコントロールするために精力を傾け始めた証拠と見ている。
関連情報
■URL
OpenNet Initiativeによる報告(英文)
http://www.opennetinitiative.net/bulletins/008/
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/01/18 14:19
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