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Ask Jeeves、Googleが提案したコメントスパム対策機能に当面静観の構え


 米Googleが18日、ブログに多くみられるコメントスパム対策として新たなリンク属性“nofollow”を付けることを提案し、サーチエンジン市場シェア2位の米Yahoo!と3位のMSN Searchがこれを支持した。一方、4位の米Ask Jeevesは明確な支持は表明しないという一見したところ奇妙な行動を取っている。

 これについてAsk Jeevesのサーチプロパティ担当上級副社長であるJim Lanzone氏は、本誌の取材に対して「我々が今ここで即決する必要はなかった」と回答。当面、新しいコメントスパム対策の効果を静観する考えであることを明らかにした。

 Ask Jeevesの決定には、サーチエンジンのアルゴリズムの違いが大きく影響している。GoogleのPageRankアルゴリズムでは、検索キーワードに対してインターネット上のほぼすべてのWebページのリンク構造を解析し、それに点数を付けて表示順位を確定する。したがって、政治問題について議論するためのブログにアダルトサイトのコメントスパムがリンクされていたとしても、“リンクされた”という事実だけでアダルトサイトの評価が上がる可能性がある。

 これに対してAsk Jeevesは、同社が買収したTeomaの検索アルゴリズム「サブジェクトポピュラリティ」を採用している。いわばPageRankアルゴリズムを一歩前進させたものだ。検索キーワードに対してすべてのWebページのリンク構造を解析するのではなく、検索キーワードと同じ“サブジェクト”を含む文書の集合を調べ、その集合の中でのリンク構造を解析して表示順位を決める。政治問題について議論するためのブログにアダルトサイトのコメントスパムがリンクされていたとしても、政治問題とアダルトサイトは全く別のサブジェクトであるため、それぞれのサイト評価に影響を与える度合いがGoogleより少ないと考えられる。このことからLanzone氏は「nofollowをサポートすることは、我々よりも、GoogleあるいはGoogleと似たアプローチをとっている他社にとって緊急事項だったのだ」との見解を示している。

 Ask JeevesがGoogleの提案に対して静観の構えを見せているとはいえ、冷ややかであるわけではない。Lanzone氏は「新しいnofollow属性はよいアイディアであり、我々はスパムに対する戦いを心から支持する。サーチエンジン同士が積極的なことのためにともに働くのを見るのはよいことだ。もし新しいタグが有効であることが近い将来に判明すれば、我々がそれをサポートすることは確実である」とも述べている。

 Googleはインターネット利用者の圧倒的な支持を受け、事実上、現時点で最も有用なサーチエンジンだが、コメントスパムに対しては、Ask Jeevesより早急に対策が求められたという点で無力であったのかもしれない。Ask Jeevesはリンク構造の解析方法を発展させたことが、コメントスパム対策として有利に働いた。このことはGoogleだけが最高のテクノロジーを持つのではなく、新しいアルゴリズムが発見されることで一夜にして業界構造が変わる可能性を示唆している。


関連情報

URL
  Ask Jeeves(英文)
  http://www.ask.com/
  日本法人によるベータサイト「Ask.jp」
  http://ask.jp/
  関連記事:サーチエンジン「Teoma」が正式リリース
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0403/teoma.htm

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/01/21 12:30

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