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世界中の市内回線を利用者同士で“共有”して無料の国際通話を実現!?


 世界中にほぼ無料で国際電話をかけられるようにするための新しい“電話交換ネットワーク”とでも呼べるような仕組みを、VoIP分野で積極的な活動を繰り広げるJeff Pulver氏が率いるグループが22日に発表した。

 Pulver氏は2000年11月に「Free World Dialup」というインターネット電話に基づくコミュニティの構想を発表しているが、今回の「Bellster Network」ではそれをさらに発展。Bellsterの利用者がそれぞれ自宅などに“電話交換機”を設置することによって、既存の固定電話網とインターネットを接続するという壮大なスケールとなっている。

 例えば、ニューヨークに住んでいる山田さんとオランダに住んでいる佐藤さんがBellsterのメンバーになったとしよう。このとき、山田さんと佐藤さんはそれぞれ自分が契約している固定電話回線をBellsterのメンバーに対して“公開”するかたちになる。その結果、佐藤さんがBellsterを使ってニューヨーク市内の知人に国際電話をかけると、まずは山田さんの自宅にある“電話交換機”までインターネット経由で接続。そこから先は、山田さんが契約しているニューヨークの固定電話回線を使って、同市内の知人宅までつながるという仕組みだ。インターネット電話同士ではすでに国際電話が無料で行なえるサービスがあるが、Bellsterでは、一般固定電話に対して無料の国際電話がかけられるわけだ。

 ニューヨークもオランダも市内通話が無料あるいは電話会社によっては無料でかけられる時間が料金プランによって定められている。電話回線を他のBellsterメンバーに公開したとしても、2人が負担しなければならないのは地元の電話会社に支払う基本料金だけだ。この例はメンバーが2人だけの場合だが、Bellsterではメンバー全員が互いに自分の電話回線を公開しあうことで、国際通話の要求をうまく“ルーティング”して無料の国際通話を実現しようとしている。


 このように、Bellsterの核となっているのは助け合いの精神だ。サービス自体は料金を徴収せず、その意味ではP2Pファイル共有ネットワークと似ているところがある。ただし中央集権的にネットワークが管理されていないため、必ずしも希望する電話番号に通話できるとは限らない。その国のその地域にBellsterのメンバーが存在しなければならないからだ。

 さらに、メンバーになるためのハードルもかなり高い。Bellsterは、オープンソースのPBXソフトを常時接続環境の古いPCにインストールするだけで参加可能だとしているが、設定作業は難易度がかなり高い。Pulver氏はこれらがすべてインストール済みのセットを1,029.99ドルで販売しているが、それだけのコストや手間をかけてBellsterに参加する人が世界中のに多くいるとは思えない。無料のネットワークに参加するのは現実的には難しいことなのかもしれない。

 とはいえ、市内通話の料金プランを巧みに使い、またオープンソースのインターネット技術と安価なPCを組み合わせることでこれだけのネットワークを構築できることを示したことは、今後の電話サービスに大きな影響を与えると考えられるだろう。


関連情報

URL
  Bellster Network(英文)
  http://www.bellster.net/web/
  PBXセットの販売ページ(英文)
  http://voipstore.pulver.com/product_info.php?cPath=24&products_id=48
  関連記事:世界への音声通話を無料に」、P2Pによるインターネット電話サービス登場
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0404/p2pit.htm


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/01/24 17:53

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