経済産業省は24日、「通信販売の新たな課題に関する研究会」の第3回会合で迷惑メール対策案を取りまとめた。今後はISPや携帯電話事業者などに協力を要請するという。
取りまとめられた対策案では、21日に経産省が発表し、特定商取引法の執行強化を明記した「迷惑メール追放支援プロジェクト」に、送信者認証技術の導入など技術的対策や、ユーザーに対する啓発活動、多国間協力の推進などを盛り込んだ。
具体的には、1)ISPや携帯電話事業者との連携のもと迷惑メールや不当請求サイトの情報を収集して認定作業を行ない、悪質な事業者に対してはISPなどの約款に基づいて利用停止処置を促進する、2)フィッシングメールにも効果があるとされる送信者認証技術を早期に導入するよう各ISPに提言する、3)ウイルスに感染したPCやサーバーがボットネットワークを構成し、迷惑メールの送信に悪用されていることなどの啓発活動を実施する、4)OECDなどの国際会議へ参加し、収集した海外からの迷惑メールについて情報交換を行なう――といった4本柱で活動するという。
● Do Not Callリストはむしろアクティブなアドレスのリストになってしまう
出席した研究会の委員からは、米国で2004年10月から始まった電話によるセールスを拒否できる登録リスト「National Do Not Call Registry」のような法規制が必要ではないかとの指摘もあった。しかし、経産省消費経済政策課では「Do Not Callリストは、むしろ実在する電話番号やアドレスのリストを作成してしまう。流出時のリスクにも考慮しなければならない」と慎重な姿勢を示した。
また、「国家予算を利用して行なう以上は、目標値や期限を区切って効果があったかどうか検証する必要がある。仮に成果が出なかった場合は、他の方法を考える必要もあるのではないか」といった意見に対しては、「効果測定ついては検討している。また、携帯電話やPCへの迷惑メールの件数についても定期的にフォローアップしていく」と回答した。
● ISPの対応は義務ではなく、経産省からの要請ベース
ISP側の委員からは「(今回の提言は)あくまでISPへの要請であって、義務ではない点を確認したい」「ISP側の対応が義務として捉えられてしまうのではないか。例えば対応が遅れてしまった場合に、ほう助が適用されてしまうことはないのか」といった懸念も表明された。経産省では「提言はもちろん要請だ。ただし、ISPや携帯電話事業者の各社には前向きに取り組んでもらえると認識している」とコメント。また、ISP側の懸念については「問題については了解した。警察などと話し合って行きたい」と回答した。
このほか、常時接続でホスティングを行なう事業者の場合、サービスの契約名義とWebサイトの管理者が異なることもあり、簡単にはサービス停止措置が取れない可能性もあるとの指摘もあった。指摘した委員は、迷惑メール事業者を簡単にサービス停止できない現実があると説明した上で、「一般ユーザーとISPの間で無用な問題を生まないために、一般への周知には十分に配慮をしてほしい」と要望した。
関連情報
■URL
通信販売の新たな課題に関する研究会
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tsuuhankenkyuukai/main.html
迷惑メール追放支援プロジェクトの概要
http://www.meti.go.jp/press/20050121003/20050121003.html
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・ 経産省、迷惑メールの収集と“認定”業務開始~送信元ISPに通知(2005/01/21)
( 鷹木 創 )
2005/01/24 20:15
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