Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

「インターネット調査と従来型調査では結果に差が現われる」との実験結果


 独立行政法人労働政策研究・研修機構は8日、「インターネット調査は社会調査に利用できるか─実験調査による検証結果─」と題した報告書を公表した。調査手法として最近普及しているインターネット調査と従来型の調査手法の特徴を比較・分析している。

 実験調査では、無作為抽出した非モニター回答者を調査員が訪問する「従来型調査」(有効回答数2,751人)と、無作為抽出または公募によるモニター回答者を対象とした「インターネット調査」4種類および「郵送調査」1種類(調査対象は原則として各1,650人)を実際に行ない、キャリアやリストラなど労働に関する意識を尋ねた。その結果、従来型とインターネットおよび郵送では「調査結果の大半が有意に異なった」が、学歴や職業などの属性だけではその差が説明できないという。

 調査結果のデータは報告書とともに労働政策研究・研修機構のサイトで公開されており、例えば「望ましい職業キャリア」について尋ねる質問で差が顕著に現われている。従来型では「一企業型」を選んだ人が最も多く、次いで「複数企業型」「独立自営型」の順だった。これに対してインターネットと郵送ではいずれも「複数企業型」が最も多く、次いで「一企業型」「独立自営型」の順になっている。しかも、インターネットでは4種類の調査いずれも、従来型や郵送に比べて「独立自営型」を選んだ割合がやや高めだった。

 このほかインターネットと郵送では従来型と比較して、「仕事や家庭を含め生活全体で充実度が低い」「多くの側面で満足度が低い」「多くの側面で不公平感が強い」「職業能力について自信がない」「心の豊かさを好む傾向が弱い」「平等社会よりも競争社会を好む」といった傾向があったという。

 なお、回答者の属性においても同じく従来型との比較で、「高学歴」「未婚」「小規模世帯」「正社員が少なく、非正規従業員が多い」「労働時間が短い者が多い」「大企業勤務者が多い」といった傾向があったとしている。

 報告書では、異なる結果が出る要因として、「回答モニターとして登録する」というプロセスを経ることで生じる「回答者自身の心理的特性の違い」が最も影響が大きいと推測している。また、実験調査の結果から「インターネット調査は、現段階では、従来型調査の代用としてなんの留保もなくそのまま用いることは不適切」と指摘している。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/017.html


( 永沢 茂 )
2005/02/09 12:39

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.