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実証実験で利用されるシステム
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イー・アクセスは10日、1.7GHz帯を使用するW-CDMAのモバイル通信実証実験を開始すると発表した。ルーセント・テクノロジーと富士通が協力する。正式な日程は未定だが、同社では「実験免許が交付され次第、早ければ2005年春にも開始する予定だ」という。
実験は、1.7GHz帯のW-CDMAによる移動通信において、音声や高速データ通信、マルチメディア・サービスの評価を行なうというもの。富士通のHigh Speed Downlink Packet Access(HSDPA)に対応した基地局や、ルーセントのIP Mulitimedia Subsystem(IMS)といったIPベースのネットワークソリューションなどが用いられる。
HSDPAをサポートした実験用携帯端末は富士通が提供し、当初から最大3.6Mbpsによるデータ通信が可能だ。フィールド・アップデートにも対応しており、最終的には14.4Mbpsまで速度を向上させることができるという。また、イー・アクセスでは携帯電話用の位置情報アプリケーションなども開発中だとした。
● 1.7GHz帯の新規参入はナンバーポータビリティと同時に
イー・アクセスでは、1.7GHz帯を利用した携帯電話事業に新規参入する意向を表明しており、「既存サービスの半額で音声サービスを提供する」「ADSLと連携する」「通信部分をモジュール化して家電に搭載する」(種野晴夫代表取締役社長兼COO)などの具体的なサービス像をすでに表明している。
また、モバイル・ブロードバンド通信事業における企画会社「イー・モバイル株式会社」を設立。10日付で日本経済新聞に「2006年、ケータイの料金を半分にしたい」というイー・モバイルの一面広告も出稿し、携帯電話事業への強い意欲も見せた。
千本倖生代表取締役会長兼CEOは「新規参入できるのであれば、2006年には正式にサービスを開始したい」と2006年中の参入にこだわる。2006年は携帯電話のナンバーポータビリティが開始される予定で、千本会長は「携帯電話業界にとっては“地殻変動”の年になる」と指摘。「この嵐に合わせて事業を開始することが、選択肢が増えるという点からも消費者にとって良いこと」とし、「2006年にサービスを開始するために、遅くとも2005年秋口までには免許を交付してもらいたい」と述べた。
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日経新聞に掲載されたイー・モバイルの広告
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イー・アクセスが想定する無線免許取得の流れ
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● 800MHz帯の再割り当ては非現実的~「高い周波数でもビジネスは可能」千本会長
また、総務省の「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」について、千本会長は「検討会には既存事業者だけでなく、イー・アクセスをはじめとした新規参入希望社が複数呼ばれた。わが国の行政においては歴史的に見ても大変オープンだったのではないか。今後も検討会での意見を尊重してほしい」と評価。その上で、「一部事業者が両論併記を強調して、自社の意見を通そうという姿勢も見られるが、実際にはその事業者の意見にはその事業者のみが賛成で、ほかの委員は反対だった。両論併記されてはいるものの、それぞれの“重み”が異なるという見方もあるだろう」とコメントした。
なお、ソフトバンクBBが申請していた800MHz帯の無線局免許については、「競争の諸条件を平等にするという点では、ソフトバンクの主張に納得できないわけではない」と語る一方で、「周波数は限られた資源でもあるし、高い周波数が割り当てられたからといって、ビジネスが成り立たないというわけでもない」とコメント。「いちいち周波数帯域を要望していたら、周波数政策は成り立たない」とし、800MHz帯の再割り当ては非現実的だという立場を改めて示した。
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千本代表取締役会長兼CEO
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種野代表取締役社長兼COO
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関連情報
■URL
ニュースリリース(イー・アクセス)
http://www.eaccess.net/cgi-bin/press.cgi?id=270
ニュースリリース(ルーセント・テクノロジー)
http://www.lucent.com/jp/press/2005/05_02_10.html
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( 鷹木 創 )
2005/02/10 17:00
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