NTTデータは11日、センサーのネットワーク化によりさまざまな連携を行なう「センサーネットワーク」について、各国の状況やNTTデータとしての取り組みを紹介する記者説明会を開催した。
NTTデータのビジネスイノベーション本部ユビキタス推進室の林慶士氏は、ユビキタス社会におけるセンサーネットワークという観点から、センサーネットワークの特徴を説明した。
ユビキタス社会とは、あらゆるデバイスがネットワークに接続されるとともに、ユーザーがコンピュータの存在を意識することなくサービスやアプリケーションを利用できる状態を想定している。こうしたユビキタス社会の実現には、人間がなんらかの操作をデバイスに与えるだけでなく、デバイス自体が状況を判断して自立的に動作することが必要であるとして、各デバイスに取り付けられるセンサーの果たす役割が大きいとした。
現在でも多くの電子機器にセンサーが組み込まれているが、センサーの小型化や省電力化といった技術の進歩とともに、無線技術が進歩したことでセンサーのネットワーク化が現実的なものになってきたという。センサーネットワークの利用例としては、家庭内に各種センサーを配置して機器を組み合わせる形のものから、広域に配置されたセンサーから災害情報を提供するといった広域なものまで、幅広い活用が検討されている。
総務省では、センサーネットワーク技術に関する調査研究会を設置し、防犯・セキュリティ、防災・災害対策、交通といった分野でのセンサーネットワーク技術の可能性について検討しており、センサーネットワーク技術は2007年には8,621億円、2010年には1兆2,389億円の市場規模になると推定している。
NTTデータでも、センサーネットワークへの取り組みを進めており、一例としては雪センサー情報システムが紹介された。このシステムでは、道路の積雪状況を監視するセンサーを携帯電話網(DoPa)を通じてネットワークに接続し、消雪施設の制御や道路情報システムとの連動を行なっている。
さらに、NTTデータではセンサーネットワークを構築するための汎用的なプラットフォームの開発に取り組んでいる。CAM(Context Awareness Manager)と名付けられたプラットフォームでは、VPNを用いたセキュアなネットワーク上で、センサー(機器)や電子タグ(物)からの情報を連携させる。このプラットフォームの利用例としては、災害通報のデモシステムを紹介。雨量情報などのセンサーからリアルタイムにWebを更新し、緊急時には登録された携帯電話にメールで災害情報を通知するといった、センサーとネットワークを組み合わせたアプリケーションやサービスが容易に開発・運用できるとした。
一方、センサーネットワークの実現に向けては、センサーネットワークの構築コストに見合うだけのサービスが提供できるかという問題や、セキュリティやプライバシーの問題が課題となる。センサーネットワークが広域になればなるほど、データの改竄や盗聴、センサーの不正利用など、セキュリティ面での対策が必要となる。また、プライバシーの面からは、センサー情報を収集・利用することについてのコンセンサスが十分に得られていない状況では、サービスを提供することは難しい。
こうしたセキュリティやプライバシーの問題を解決するには、認証や暗号化といった技術面での対策だけでなく、センサーの配置場所や利用目的などを利用者にきちんと明示するといった社会的な規範や、センサーの目的外利用や盗聴を禁止するといった法律面での整備が必要であるとした。
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センサーネットワークの市場規模の予測
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センサーネットワークによる災害通報のデモシステム
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関連情報
■URL
NTTデータ
http://www.nttdata.co.jp/
( 三柳英樹 )
2005/03/11 17:17
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