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ファイルローグ裁判、東京高裁が日本MMOの控訴審を棄却


記者会見に出席するJASRACとRIAJの関係者
 日本音楽著作権協会(JASRAC)と日本レコード協会(RIAJ)の会員19社がファイル交換サービス「ファイルローグ」を巡り損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決で、東京高等裁判所は31日、東京地方裁判所の一審判決を支持し、ファイルローグを運営していた日本エム・エム・オー(日本MMO)側の控訴を棄却した。

 東京高裁知的財産第3部の佐藤久夫裁判長は、まず「ファイルローグにおいて流通する情報を逐一捕捉することは技術的にも容易ではないことから、サービスを提供しているからといって、日本MMOが著作権侵害の主体だとするのは適切ではない」とした。その上で、「しかし、ファイルローグの利用方法としては、主に違法な著作権侵害行為が想定されるもので、日本MMOが著作権侵害行為を予想しつつ提供し、侵害行為を誘発していた。また、日本MMOによる管理も可能であり、管理による経済的利益を得る余地があると見られる事実があるときは、サービス提供者側の責任が問われるのも当然で、侵害の主体と認めることができる」と指摘し、日本MMOと同社代表取締役の松田道人氏に対して、総額約6,689万円の損害賠償金の支払いを命ずる一審の判決を支持した。

 今回の訴訟は、2002年2月に日本音楽著作権協会(JASRAC)と、日本レコード協会(RIAJ)の会員19社がそれぞれ東京地裁に起こしていたもので、市販の音楽CDから作成されたMP3ファイルの送受信停止と、著作権侵害による損害賠償を求めていた。

 これに対して東京地裁は、2002年4月に送受信停止を命ずる仮処分を下しており、日本MMOも同月中にサービスを停止した。さらに、東京地裁は2003年12月に日本MMOが著作権侵害の主体であり、同社および松田氏に損害賠償責任があるとの終局判決を示していた。

 JASRACの弁護士を務めた田中豊氏は、「仮処分が下った2002年4月からおよそ3年が経過したが、司法判断の枠組みとなる部分は地裁と高裁でも変わらなかった。東京高裁の知的財産部でも、サービス提供者側が著作権行為の主体であるという判断が下されたことは重要だ」とコメント。RIAJの弁護士を務めた前田哲男氏は、「日本MMOはプロバイダ責任制限法の免責規定が適用されると主張したが、東京高裁は同社がファイルローグで直接・間接的に経済的利益を上げており、免責規定は適用されないと判断したことを支持する」と述べた。


JASRACの弁護士を務めた田中氏 RIAJの弁護士を務めた前田氏

 今回の問題となったP2Pファイル交換サービス「ファイルローグ」は、ネットワークの中央にサーバーを設置するハイブリッド型のP2Pファイル交換サービスだ。JASRACやRIAJでは今後、中央サーバーを設置しないWinnyのようなP2Pファイル交換サービスへの対策を強化するとしている。


関連情報

URL
  日本音楽著作権協会のニュースリリース
  http://www.jasrac.or.jp/release/05/03_4.html
  日本レコード協会のニュースリリース
  http://www.riaj.or.jp/release/2005/pr050331.html

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「ファイルローグ」を運営していた日本MMOに6,689万円の損害賠償命令(2003/12/17)


( 鷹木 創 )
2005/03/31 17:45

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