産業界や業界団体で構成される警察庁の有識者会議「総合セキュリティ対策会議」は21日、インターネット上で自殺予告や殺人予告などの書き込みが確認された際、警察がISPに予告者の情報を開示させる提案をまとめた報告書をまとめた。
ISPでは通信秘密を確保する義務があるため、警察からの身分照会要求に対しては裁判所が発布する差押え令状を受けて回答するのが一般的。だが、自殺予告自体は犯罪には該当しないため差押え令状が出ない。また、殺人予告でも「東京の子ども」などのように殺害予告の対象が具体的でない場合は差押え令状が取得できないケースがある。
一方、社団法人テレコムサービス協会が公表しているISPのガイドラインによれば、「自殺予告」などの緊急時における情報開示は、通信の秘密の例外規定となっている。しかし、同ガイドラインには具体的な例示が明記されていないことから、各ISPが個別に情報開示を判断しており、情報開示を拒否するケースもあったという。
そこで、同会議ではインターネット上に自殺の決行、集団自殺の呼びかけ、対象が不確定な殺人予告などの書き込みに対する報告があった場合、照会文書によってISPに身分照会を行なう手続きをまとめた。具体的には、身分照会の対象となる事例を類型化したほか、身分照会時に提出する文書を統一化することを決定した。警察庁では今後、法制度化を含めて検討するとしている。
関連情報
■URL
総合セキュリティ対策会議
http://www.npa.go.jp/cyber/csmeeting/
警察庁
http://www.npa.go.jp/
( 増田 覚 )
2005/04/21 15:46
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