住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)はプライバシーの侵害だとして石川県の住人28人が国などに対して損害賠償を求めた裁判で、金沢地方裁判所は30日、損害賠償は棄却したものの、原告らの個人情報を住基ネットから削除することなどを命じた。
判決では、石川県と地方自治情報センターに対して「原告らに関する情報を、住基ネットの磁気ディスクから削除せよ」と命じた。また、石川県には「住民基本台帳法に掲げる国の機関および法人に、原告らの氏名、住所、生年月日、性別などの本人確認情報を提供してはならない」「地方自治情報センターに原告らに関する情報処理事務を委任してはならない」「同センターに原告らに関する情報を通知してはならない」としたほか、地方自治情報センターにも「センターは石川県から受託した情報処理事務を行なってはならない」と命じている。
井戸謙一裁判長は「住基ネットからの離脱を求めている原告らの情報を住基ネット上で利用することは、プライバシーの保護を保障した憲法13条に違反する」とコメント。原告側が求めていた1人あたり22万円の損害賠償請求は棄却したものの、本人の同意がない場合には違憲とする判決を下した。
なお、総務省自治行政局市町村課では、今回の判決を受けて「判決の詳細は未だ承知していないが、住基ネットについての理解が得られず、石川県などの主張が認められなかったことは極めて遺憾に思っている」とのコメントを発表。控訴などについては「関係機関と相談することになるが、しかるべき対応を行ないたいと考えている」としている。
関連情報
■URL
金沢地方・家庭裁判所
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_home.nsf/CoverView/HP_C_kanazawa?OpenDocument
総務省
http://www.soumu.go.jp/
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( 鷹木 創 )
2005/05/30 16:29
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