ブロードバンド基盤の全国整備などについて2004年6月から検討を重ねてきた総務省の「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」が30日、最終報告「次世代ブロードバンド構想2010(案)」を取りまとめた。総務省のサイトでは報告案に対する意見を募集している。期限は6月27日まで。
最終報告案では、1)ブロードバンド・ゼロ地域の解消を図ること、2)大容量の「受信」だけでなく「発信」にも重点をおいた上り30Mbps級以上の次世代双方向ブロードバンドを90%以上の世帯で利用可能とすることを掲げた。これは、2004年12月に総務省が発表し、2010年までに国民の100%がブロードバンド環境を利用可能にする目標を掲げた「u-Japan政策」を受けたものになる。
具体的には、まず2008年までに「ブロードバンド・ゼロ市町村」を、2010年までに市町村内の一部空白地域まで含めて「ブロードバンド・ゼロ地域」を解消するという。これにより「面的に全国津々浦々まで整備するプロセスで、世界的にも稀な高度なネットワーク環境を実現する」「ブロードバンド環境を整えることで、セキュリティソフトのダウンロード環境を整備し、セキュリティホールを最小化する」「ブロードバンドとナローバンドの併存によるWebサイト作成コストの負担を軽減できる」という。
また、最終報告案ではブロードバンドの整備像として「2010年における次世代ブロードバンド整備の青写真」、2010年までの整備の目安に関する「次世代ブロードバンド年次整備指標」、国や地方公共団体、通信事業者の整備推進方策に関してそれぞれ提言を行なった。
青写真では、大都市や市町村、山間部などの地域を事業者の採算別に分けて、それぞれの地域で住民の100%が利用可能なブロードバンド環境を示した。例えば、大都市部などの採算地域では光ファイバやADSLなど、市町村の郊外や過疎町村などの準不採算地域や不採算地域ではReach DSL、FWAのほか「衛星+ADSL/FWA」などの組み合わせも示された。
年次整備指標では、2005年から2010年までのブロードバンド環境別世帯カバー率や月額料金を示した。指標によると、2010年までに光ファイバの世帯カバー率は90%に達し、料金もこれまでの月額6,000円から月額2,500~4,000円程度になるという。ADSLや光ファイバなどブロードバンド全体の世帯カバー率は2010年で100%。光ファイバによる超高速クラスのブロードバンドでも90%の世帯カバー率を占めるという。普及世帯数では、光ファイバが1,200万~1,500万世帯、ADSLが1,500万~1,700万世帯、CATVが450万~480万世帯に達するとしている。
このほか、整備推進方策では国や地方公共団体、事業者が連携してブロードバンドの整備を推進するよう求めた。特に、地方公共団体が設置した光ファイバに関しては「開放可能とされている光ファイバ27万kmのうち、実際に開放されているものは9万kmにすぎない」として、いっそうの開放を求めた。
関連情報
■URL
報道資料
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050530_4.html
■関連記事
・ 総務省の研究会、「2010年までに国民100%にブロードバンド」を目標に(2005/04/21)
( 鷹木 創 )
2005/05/31 14:21
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